坂戸城

上田長尾氏居城。国史跡。


構造:山城
公式HP: 南魚沼市
年代:南北朝時代~1610年  
主な城主: 上田長尾氏 上杉氏
所在地: 新潟県南魚沼市六日町
訪問日:2010年11月
駐車場情報:駐車場あり(無料)

遺構満足度:★★ ロマンどきどき度:★★★  犬連れ快適度:★★★★★


越後上田庄(うえだのしょう)

上野と信濃の景色を背に三国峠を下ると,三国街道は越後平野に繋がる扇状地の東端を北北東に進み,やがて行く手を急峻な八海山系に阻まれて西に曲折します。かつてその中程の小山にあったのが坂戸城です。
EOS5D Mark II + EF70-200mm f/4 L USM

 


坂戸城跡

正確な築城についてはわかっていませんが,文化庁のHPによれば,南北朝動乱の際,南朝についた越後新田氏が本拠としていた魚沼南部を北朝方の上杉氏が奪い,家臣だった長尾氏が上田領に封ぜられました。このとき新田氏の館があった坂戸山に城を築き上田長尾氏の祖となったとあります。
EOS5D Mark II + EF70-200mm f/4 L USM

 


坂戸山の中腹にかけて,いかにも中世と思しき古色蒼然たる石垣が残っています。

坂戸城は難攻不落を謳われましたが,1551年当主の長尾政景がついに上杉謙信に屈し,その臣下となりました。
EOS5D Mark II + EF70-200mm f/4 L USM

 


上田衆

1560年,坂戸(もしくは湯沢)に住む上田家中 樋口兼豊と信州から嫁いだ美しい妻との間に長男与六が誕生しました。その子,長じてまこと利発な美丈夫となり,幼くして学問武芸に秀でたため,たちまち仙桃院(上杉謙信の姉)の目に留まるところとなりました。そして謙信の養子となった政景の子・顕景(景勝)の近習として抜擢されます。後の直江兼続です。

やがて景勝は上杉家を継ぎ,凡庸な才にて戦国の世を切り抜け,出羽米沢藩30万石として生き残ります。それには兼続始め屈強で団結力の強い上田衆の力が大きく働いたと思われます。上田五十騎とは景勝の馬廻りを務めた精鋭部隊です。
EOS5D Mark II + EF70-200mm f/2.8 L USM

 


さて,坂戸城。魚野川の河岸段丘を利用した難攻不落の城と言われますが,関東平野に北条氏が遺した巨大城郭を見慣れた者にはいささかもの足りない造りです。これで,どうして武田や北条を向こうに回して戦うことができたのでしょうか。

秘密の鍵は上田の気候だと思います。どんなに屈強な軍に囲まれたとて,城に籠って冬まで持ちこたえられれば大丈夫…越後上田の冬の過酷さといったら,とても他国の軍勢が駐留することなど不可能です。私はこの日の訪問以来,越後上田の風景がとても気に行って,冬に夏にと何度も訪れるようになったのですが,冬の積雪をご覧ください。
EOS5D Mark II + EF70-200mm f/4 L USM


これです。上田あたり,ほとんどの農家はマイ除雪機を持っています。道路は背よりも高い雪壁に囲まれ,積雪はほぼ毎日です。ま,私たちは犬と雪遊びするためにわざわざ出かけるのですけどね。
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景勝・兼続生誕の地碑

秋景に戻ってここは坂戸城跡の中腹。大河ドラマ放映に合わせた急造の石碑と思いきや,それにしては苔むしてゆかりあり気な風情。今回,写真帖にまとめるに当たってネット検索してみると,かなり以前から別の場所にあったものが,ドラマに合わせて移転してきただけのようです。失礼失礼。
EOS 5D Mark II + EF70-200㎜ f/4lL USM

 


坂戸山全景

あまりめぼしい遺構のなさそうな実城登山をあっさりパスし,濃い秋色に誘われるように遊歩道を西に向かってそのまま下山しました。いささか城跡ファンにあるまじき行為です。
EOS5D Mark II + EF70-200mm f/4 L USM

 


雲洞庵

城跡から車で一里ほど南下しました。観光バスが何台も停まれるような駐車場も大河からたった一年で夢の跡。まこと静かな境内が魅惑的ですが,犬は入れてくれそうにないので,遠く門外から参拝させていただきました。
EOS5D Mark II + EF70-200mm f/2.8 L USM

 


仙桃院の依頼を受け,当時の住職 十三世 通天存達和尚が,喜平次(景勝)と与六に英才教育を施したことで知られています。主従は幼くして,武将の教養たる孫子,茶の湯の他,ここで四書五経から漢詩和歌など和漢の古典まで広く深く学びました。仙桃院は時流からポスト謙信まで見通していたのでしょうか…ただの教育ママではありません。
EOS5D Mark II + EF70-200mm f/4 L USM

 


一面に田んぼの広がる上田から,今は新幹線が通り,スキー場のリフトが何本も敷かれている西側の小山を臨みます。
EOS5D Mark II + EF70-200mm f/2.8 L USM

 


最上山関興寺

その小山の麓にある関興寺は応永年間の開山とされる古刹です。御館の乱で境内が全焼した際,景勝の指示で上杉氏寄進の大般若経など古文書数百巻を味噌桶に隠して守ったという言い伝えが残っています。雲洞庵の駐車場で話しかけられた兼続ファンの方に,ぜひ訪ねるよう勧められて来ましたが,いささか兼続ゆかりの地としては縁が薄いような気がします(笑)
EOS5D Mark II + EF70-200mm f/4 L USM

 


観音さまも雪囲いされています。
EOS5D Mark II + EF70-200mm f/2.8 L USM

 


これで今日の歴史探訪を終え,開放された妻と愛犬タローは魚野川に川遊びに行きました。私は田んぼの中に久々画架を立てます。
EOS5D Mark II + EF50mm f/1.2 L USM

 


影が長くなる頃,川遊び組が帰ってきました。

「むふむふ(パパ,まだやってんの?)」

うーん,もう少し。

「でも,そろそろ片づけて宿に行かないと,秋は日が落ちるのが早いわよ。」


八海山

「ほらね♪」
EOS5D Mark II + EF70-200mm f/4 L USM

 

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