2014/8

お盆休みの真っ最中,ボクのアドヴァン*1が右の後輪に続いて左の前輪にもスリップサイン*2を出した。

あっちゃー,なんとか今シーズン中はもたせようと思ったのにぃ。春に鹿児島だとか青森だとかまで走っちゃったからなぁ。

「店長に電話しときます。限界マックス安くしてくれますよ。」

…と,元走り屋*3で今は自動車整備士をしている後輩に紹介してもらったので,はるばる調布のタイヤ館*4に行くことにした。

「こんにちは。ポテンザ*5ありますか?…なーんちゃって冗談です。最近わけあってほとんど法定速度なんです(笑)丈夫で長持ちなタイヤありますか?」
「ポテンザの在庫はちょっと…何がご用意できるか確かめますので少々お待ちください。」

お盆休み中のこと,配送は止まっているので店の在庫から選ばなければならない。

「お待たせしました。この4種類がございます。」
「うっひー,マックス安くてもレグノ*6はやっぱ高いね。飛びぬけて安いこれは国産じゃないんだよね?お,こっちのこれが長持ち度の星がいちばん多くて値段も手ごろですね。」
「転がり抵抗が小さいので燃費もいいですよ。」
「要するに食いつき悪いってことでしょ(笑)ま,いいや,じゃあ,これにしようかな。何ていうの?これ。」
「エコピアEX○○」
「え?エコピア?それって,タイヤのブランド名?」
「はい,私も使ってます。」

いや,ちょっと…それは名まえが(;^_^A

「じゃ,せめてこっちにしようかな。」
「エコピアPZ-○ですね。」
「え?これもエコピア?もっとふつうのないの?自分のマシーンの足回り*7にエコピアとかふつう履かないでしょ。」
「はあ,イマドキのお客さま,マシーンとか足回りとかあまりおっしゃいません。」

しかも「エコ」とついてる方が何でもよく売れるのだそうだ。…ボクは腕組みして目を閉じた。

なぜか真夏の夜の13号埋立地を思い出した。

中古の2TGセリカ*8の助手席にドレミを乗せて,夜な夜なドリフト走行*9の練習に行った。
ショートホープと缶コーヒー,カストロール*10の焼ける匂い…。

そして鼻先にチョコレート…ん?

「す・い・す・ぎ」

火をつけようとした3本目のたばこを取り上げられて,代わりにチョコレートが口につっこまれた。

「カストロってキューバ製のオイルなの?」

10代のときから天然だったドレミの声が,記憶の中から聞こえた気がした。ボクはエコピアを愛用している店員に言った。

「レグノにしてください。」
「え?」
「エコピアなんとかじゃなくてレグノを4本ください。」
「は,はいーー!!」

店長は勧めたブランドよりずっと高いタイヤが売れたので,ほくほく顔で倉庫に飛んで行った。ボクは家にいる妻に「やっぱり,安全を考えて(大嘘)高い方を買おうと思うんだけど。」とLINEした。すぐにレスポンスがあった。

「そうね,好きなのにした方がいいよ。」

3万円近く値段が違う。必要ないのについ名まえで衝動買いとは言えない(笑)

次の週末には新品のタイヤで久しぶりに夜の13号埋立地までドライブに行こうかな。もっともそこは今,お台場って呼ばれてるけど…。

*1 横浜ゴムのスポーツ車用タイヤ/ *2 法定のタイヤ交換時期の目安となるサイン/ *3 自称スポーツ走行を楽しむドライバー(はた迷惑)/ *4 ブリジストンのタイヤ専門ショップ/ *5 ブリジストンのスポーツ車用タイヤのブランド/ *6 ブリジストンのセダン用高級タイヤのブランド/ *7 タイヤやホイール,サスペンションなど車の接地,緩衝セクションの俗称/ *8 ヤマハがチューニングした1600cc DOHCエンジンを搭載した70年代のトヨタのスポーティ車/ *9 意図的にタイヤを滑らせるFR車のコーナリングテクニック(はた迷惑)/ *10 BP(英国)の車用潤滑油のブランド名

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