Apr.2012


初日の宿は少し高めでしたが高速ランプの側に見つけた無難なアメリカンスタイルのホテルにしました。 ドレミを休ませるためです。




ボクたちが一週間もの春休みを取るためには,出発ぎりぎりまで公私ともかなりムリしなくてはなりません。

とくに妻は前日,ほとんど徹夜になるほど忙しかったので,機内では食事にも手をつけずにコンコンと眠り続けていました。


それでもよほど疲れていたのでしょう,ホテルに入って猛然と荷物の整理をすると,もうばったりと気絶するように寝てしまいました。 ボクはと言えば逆に目が冴えて眠れません。トランクから雑誌を取り出します。

飛行時間が長いとき,ボクはいつも成田空港の本屋で

文芸春秋
ゴルゴ13
アサヒカメラ(または日本カメラ)

の三冊を調達することにしています。

この三冊をうまく使い分ければほとんど無限に時間をつぶすことができます。時差ぼけで眠れない夜にも有効です。


…などと言っている場合ではありません。少しは寝ておかないと明日はまたナマズとの格闘が待っています。横からすーすーとドレミの寝息が聞こえてきます。ボクはゴルゴ13を置いて彼女の寝顔を見つめました。バルセロナの町でたった2時間のショッピングが楽しかったのでしょう。幸福そうな寝顔です。

月がないから バルセロナの夜は 誰よりも 君を選んだのさ

佐野元春「バルセロナの夜」より


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