21/民宿ランプ(1)

Aug, 2009

昼間にここを通ったら,たいていの人はこの宿が営業しているとは思わないだろう。予約しているボクたちですら戸を開けるのを躊躇したくらいだ。

奥から主人が相変わらずのひょうひょうとした雰囲気で現れてホッとした。ここがボクらの北の住処,民宿ランプである。ペット同宿のホテルはめったにないし,専用のペンションは堅苦しくて寛ぐどころか疲れてしまう。

ここなら足さえよく拭けば,タローとずんずん上がっても気兼ねない。それどころか下手にタローがゴロゴロすると,埃まみれになりそうなので,特に廊下ではゴロゴロ禁止である。

キレイ好きのドレミは,勝手知ったる奥から雑巾を借りてきて,まず部屋中を掃除する。ボクも手伝って雑巾を絞っていると,一人旅の若い女性ライダーが入り口に立っていた。

「予約してないんですけど泊まれますか?」
「あ,はいはい。少々こちらでお待ちください。」

毎度のことなので自分も客だと説明しているより取り次いだ方が早い。

部屋がキレイになったところで,荷物を運び込み,とりあえず一緒に一番風呂に入る。

こんな宿に連泊する客はボクたちくらいなので,中日の昼間,2階の部屋のベランダはドレミ専用の物干し台である。

 

だが,ランプの魅力はこれだけではない。

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