Aug.8th, 2018
17.旅の終わり
フランクフルトへ
最終日の朝が来た。
ライン川の夜明け
部屋の前のテラスからもつぐみ横丁が見渡せた。
まだホッとするわけにはいかない。高速でフランクフルト国際空港にアクセスするのもレンタカーの返却もフライトの手続きもみんな二人だけで考えてしなければならない。でもそれは楽しみでもある。あれこれと旅に慣れて来るのに従って刺激も薄れてくる。旅を終えるのには頃合いだ。
ニュルンベルクの橋の上で親しく話した若者は今日も朝からアルバイトに出かけただろう。ゴールデンのミナとお母さんはそろそろオーストリアの旅を終えて家に帰っているかもしれない。国境の村の婦人はしるこサンドを召し上がっただろうか。ミュンヘン郊外でレストランを営む夫婦はもうランチの仕込み中だろう。
今度の旅も色々な人に出会った。ボクは旅が好きである。
もちろん日本国内での旅はもっと好きで自分のアイデンティティは旅人であると標榜するほどであった。愛犬タローと暮らすようになってからはそれに益々拍車がかかり,タローも初めての場所を好んだため旅は犬中心となった。三人(2+1)で日本中を旅した。だからタローを喪ってからこっちどこにも出かけられなくなってしまった。天気予報やニュースで地名を聞いただけでその土地を旅した思い出が押し寄せて胸を締め付ける。
だが海外にはタローとの思い出がなかった。だから今回の旅を強行した。ボクたちの日々を変えていくきっかけにしたいと思った。この旅を通してボクたちは少しだけ自信を取り戻すことができたかもしれない。
フランクフルトに入る前のサービスエリアで首尾よく給油できた。
愛着の湧いてきたイビサFRともお別れである。
レンタカーの返却もスムースに終了。ヨーロッパカーはいつもそうだがキズのチェックなどがその場でないことが不安だ。あとからメールで届く。
ボクたちの便が電光掲示板に表示された。
チェックイン荷物にドレミが振り分けたワインの重量も無事にパス。
残ったユーロを使って免税店に走る。もちろんチョコレートである。
いつも搭乗口まで来ると日本人のツアー客たちに囲まれて帰った感が高まるのだが今回は少し勝手が違う。セントレア行きなので周りが名古屋弁だからだ。
フライトを終えてもまだ東京まで400kmを走らなければならない。そしてタローは待っていない。
ドレミの歌~想い出に変わるまで
完