Apr. 1st, 2019

2.リッチ!ANAの直行便


チケットを取ったのは10月頃のこと。その頃ボクは激しいタローショックの第三弾をくらって心身ともかなりいけない状態だった。ドレミもほぼ毎日泣いていた。イギリス行はその準備期間にこそ意義があった。すなわち仕事以外の時間にメンタル面の空白を作らないこと,それが心を守るぎりぎりの手段だった。

webの予約サイトで直行便を検索した。どうした加減かボクには見当もつかないが一日発着をずらすだけで数万円も値段が違う。ぎりぎり期間内のいちばん安い便がなんとANAだった。これもボクには理由が分からないが,自国の航空会社のチケットはあまりディスカウントが出ない。中国や韓国の旅行者が成田トランジットでもJALやANAを利用するのはそういう理由からだろう。逆にボクたちはこれまでJALやANAの国際便に乗ったことがなかった。自国のエアを利用するのはボクたちにとって初めてのリッチな経験である。


地下鉄で行けるのにリムジンバスを使うのもボクたちの旅のポリシーに反する。幸い腰の状態もそこそこなので,電車で羽田に向かった。…やめておけばよかった。時間が悪かった。朝のラッシュ時,大きなトランクを引きずっていては1本2本と見送らないと乗ることすらできなかった。やたらと時間がかかる。そもそも人迷惑である。



むつみ母には町田からリムジンで来るよう厳重にドレミが言っていたので無事に羽田で落ち合うことができた。義母には若干浮世離れしたところがある。ベンチにバッグを置いたまま飲み物を買いに行こうとしたのでドレミが目くじらをたてて怒った。



かばんにはパスポートやクレジットカードも入っている。旅慣れたボクらには考えられないことではある。



全日空NH211便がドアクローズ直前,ボクらは新元号をニュースで知った。改元まで1ヵ月,行き先の英国では3月29日,議会でEU離脱協定案が否決され4月12日が離脱期限となっていた。



内外の情勢とは全く無縁に母子三人旅が始まった。眼下にレインボーブリッジが小さくなってゆく。



食事には閉口した。口に合わない。…と言うか正直に言えばまずい。滅多に飛行機に乗らないボクなどが言うのも何だが行きも帰りも一口で降参した。素パンとコーヒーをくれた方がマシだ。誰も指摘しないのだろうか。そもそもこれを海鮮丼とは言わない。



食べ物を除けば空の旅は快適だった。機内はガラガラで義母などはこっそり空席を3つも独り占めして熟睡していた。ボクは字幕を読まなくて済む邦画を見ることを覚えて長いフライトも苦にならなくなった。



EOS 5D MarkⅢ + EF17-40mm f/4L USM

RWY09R…ヒースロー空港では東風は珍しいとのこと。テムズ川を眼下に大きく回り込むように西から着陸態勢に入ったので窓の下を狙っていたら…ほら,ウインザー城空撮!!エリザベス女王は週末をこの城でお過ごしになるのがお気に入りだそうだ。

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