Apr.2nd, 2019
7.にわかウルヴスサポーター
コッツウォルズはcots(羊小屋)Wolds(丘)で羊ケ丘という意味らしい。
ムリもない。羊は2,3月が出産時期でちょうど今頃はどこでも赤ちゃん羊の愛らしい姿が見られる。
どうしてこんなにジャンプするのだろう。この世に生きている楽しさが止まらない様子。
通りかかる村人がヒツジを指差しながらドレミたちにさかんに何か解説している。どうやら子羊たちに書かれている数字について話してくれているようなのだが全く言葉が分からない。ホントに英語を話しているのだろうか(笑)
コッツウォルズ観光を決めたときにバーミンガムの郊外に宿を予約した。
ホテルはベッドタウンの住宅街にポツンとあった。義母がレンタカーもホテル代も人数割りに出したいと言って譲らないので,できるだけ負担をかけないようにとドレミの安宿選びも徹底している。
車での宿泊客はボクたちだけらしい。
ほぼビジネスユースと思われる宿だが小ぎれいで真新しい。
清潔な部屋。床は水平。調度品もお茶のセットもキチンとしている。
快適な宿にあたった。ボクは三人分のカメラや電子機器の充電作業,ドレミは荷物の整理に忙しい。
宿にはレストランがない。…にもかかわらず繁華街までが遠い。安さの理由はどうやらそのヘンにありそうだ。
15分ほど歩いてグーグルマップで営業中となっていた最寄りのパブにたどり着くと「今日は火曜なので…」休みだという。確かに客は一人もいない。そんなこともあるのだと知った。通りはすでにシャッターを下ろした店も多く次の飲食店は1ブロック先だ。むつみ母が疲れている。旅も二日目,いちばん疲れの出る頃だ。ボクの腰も少々ヤバい。冷たい雨が降り出した。
これ以上無駄足はさせられないと考えたのだろう,ドレミが傘もささず斥候に駆けだした。
遠くの角にある店先から両手で大きく丸のサインを送ってくる。看板に出ているメニューの値段が少々安すぎるのが気になったが贅沢を言っている場合ではない。
さらに違和感は店に入るときチラリと見えた大型モニターにあった。
店内に異様な緊迫感が漂っていた。ここはスポーツパブ。そして実はバーミンガムよりはずいぶんと北に行き過ぎていてウルヴァーハンプトンという町の郊外にあたる。
折しも地元ウルヴァーハンプトンが強豪マンチェスターユナイテッドをホームに迎えてのプレミアリーグ33節が開催されている夜。
手に汗握る試合展開に固唾を呑む店の客たち。ボクたちも俄かウルヴスサポーターにならざるを得ない。
そういうわけで飲み物も食べ物も安いわけである。
料理はファミレスと同じくどこかで調理済みのものを温めて提供されているようだ。まあ,良く言えば外れはない味でしかも注文してから出てくるまでが早い。
試合はアシュリー・ヤングをレッドカードで失ったマンチェスターユナイテッドからウルヴスが後半に勝ち越し点を奪って快勝した。
盛り上がる店内の勢いそのままボクも追加注文。
フットボールな夜が更けていった。