ずっと行けなかったので,祖母のホームに行こうと,疲れた体にムチ打って出掛ける準備を始めた。
その様子をじっと見上げていたタローの呼吸が急に荒くなって,深呼吸が止まらなくなった。また置いて行かれると思って,留守番の記憶がよぎったらしい。
なおみが驚いて声をかけたが止まらない。ビニール袋を被せるといいと何かの本に書いてあった。ところがタローはビニール袋を取り出すガサガサという音に反応した。クッキーを出す音だと勘違いしたらしい。イマムラタローくんをしながら,過呼吸が解けた。
けっこう危ない感じだった。よっぽどホテルの留守番がストレスだったのだろう。だが,その恐怖より,クッキーの味の記憶が優ったようだ(笑)よかったよかった。