しまてつ
諫早駅から島原外港駅まで43.2kmを結ぶ鉄道。
運行:島原鉄道株式会社 撮影:阿母崎駅付近
公式HP:島原鉄道
撮影地: 長崎県雲仙市吾妻町阿母名
撮影日:2017年4月
島原半島の有家という町の外れで信号待ちしていると,ナビには西有家駅が表示されますが,グーグルマップにはありません。コンビニに寄ったとき,地元の人らしい女性に「電車はもう来なくなったのですか」と聞くと,不思議なものを見るように目を丸くして応えました。
「ええ。いつだったかしら。もうずっと前」
そんなに驚かれることはありません。ボクが「こないだ」来たのは2005年の夏ですから。その12年間に島鉄の島原から南は廃線となり,有家町は町村合併で消えたようです。ボクはただ,初めて島原半島にきたとき(それはたぶん,1990年代前半のこと)深夜に西有馬駅の近くで喫茶店のような洋食屋で夕飯を食べたことを思い出して懐かしかっただけなのです。
早崎瀬戸沿いを颯爽とゆく島鉄の姿は記憶にあるのですが,如何せんなんちゃって撮り鉄を趣味にしたのは最近のこと,それではひとつ,あえて田んぼの中をゆく島鉄を撮ってやろうと,諫早近くにロケハンしてみました。
阿母崎駅の少し西あたりに見つけました。イメージ通りの田んぼ道にお邪魔します。広い田んぼを正方形に区切る舗装道路は基本軽トラ基準。ブレイドでも曲がり角はぎりぎりいっぱい,ひとつ間違えれば脱輪状態です。
さて,このゼイタクなロケーション,1アングルだけとはもったいないことです。
オレはあっちの踏切から狙うから,ドレミはここで雲仙を背景に通過するところを真横から撮ってくれ。
「やーよ。失敗したらこわいからあたしやらなーい。」
待て待て。そんなに難しくない。まあ,聞いてくれ。
「おやつ食べようっと。ぱくぱく。さっきのカステラ屋さんがくれた切れ端。ほらこんなにたくさん。」
お土産に二本買っただけなのに,ほぼニ本分の切れ端をちゃっかりもらってきています。
いいか。今日は天気がいいから…
「タローも食べる?おいしいねー♪」
天気がいいから,山と電車と両方キレイに撮れるよう思いっ切り絞ってあってまずピンぼけの心配はない。そこへほぼ平行移動で電車が来るから,ドレミはただシャッターを押すだけなんだよ。指が開けばタローでもできるくらいだよ。
ひとつだけ,注意することがあるんだけど…。
「ほら,やっぱり。難しいんだ。」
いやいや,簡単。運転席のある列車の頭を真ん中に持ってこないように気をつけてもらうだけ。日の丸って言ってさすがにまずいんだよ。今日は一両編成だろうから,サイアク全部画面に入れてくれればトリミングできるからそんなに気にしなくて大丈夫だよ。
「でもこわいから,やー♪」
じゃ,頼んだぞ。
サンヨンを装着した7Dを地面に置いて踏切近くのポイントに急ぎます。
ボクの方は菜の花が入る構図をあれこれ探って,結局踏切の脇に陣取りました。
来た来た。来た来た。ん?思ったより,向こうのビル街が目立っちゃうな。
結局,ビルを外すとこんな角度になっちゃった。
まあ,仕方ない。これは想定内。オーソドックスな本命構図は二号機で押さえてあります。
ほら,アシスタントが二号機7Dを袈裟懸けに颯爽と歩いてきます。
どうだった?
「うーん,何か真ん中に来ちゃったような気が…」
な!
な…
なんと,日の丸連写流し撮りぃー!!(笑)
しかもおしり切れててトリミングしようもない(;^_^A
仕方ない。もう一本待つか。
「ごめん。だから言ったのに…」
いいんだ。これがおもしろいとこじゃん。お腹すいた。切れ端くれ。
こうしてボクらはこの田んぼで1時間以上も過ごすこととなりました。静かそうに見えますが,あたりはヒバリだのシジュウカラだのが春を競うように鳴いていてちょっと離れると会話がしづらいほどです。
不思議なもので,こんな場所が旅でいちばん思い出に残るシーンだったりするものです。
来るぞ。さあ,今度はうまくやろうぜ。
諫早行。逆方向から来ます。
あれれ,前景予定の菜の花が高すぎてその中に隠れてしまいます。
だはー!!やっちゃったよ。ボクの方はまたまた失敗しましたが…
ほら。ドレミは見事に「しまてつなめ普賢岳」を仕留めていました。