OUR DAYS2005年2005-05-14

つい先日までボクは自分のことを「ワカモノ」だと思っていました。

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その朝、ボクは中野で用を済ませて、駅のそばの定食屋さんの暖簾をくぐりました。ふだんは妻といっしょなので、なかなか定食屋に入る機会はないのです。昼過ぎということもあり、店内は近所の商店主などいわゆる「おじさん」がほとんどだったのですが、彼らの食べているご飯の量にびっくりしました。付け合わせのサラダもマカロニが山盛りなので、ボクは慌てて

「ご飯を1/3にしてください。」

と頼みました。それでも店から出ると、ぱんぱんになった腹をさすってお相撲さん歩きしながら、「みんな、よくあんなに食べられるなぁ」と感心していました。

午後は新宿のメガネ屋さんに行きました。去年の夏頃から急に近距離の焦点が合わなくなり、新しいメガネを作ったのですが今度は遠くがよく見えません。そこで別な店に相談してみようと思ったからです。

「遠近両用メガネしかありませんね。」

目の検査をした店員が笑っています。

「え”っ!」

それはもしかしたら老眼ということでしょうか。店員の笑顔に「そうですよ。それがどうかしましたか?」と書いてあります。

「ちょうど、そういう年令でいらっしゃいますから…」

呆然としているボクに、淡々と店員の声が続きます。

初心者には少し高くてもゆがみの少ない新開発のレンズをお薦めして…」

こうして10万円近いHOYAの遠近両用ゆがみ軽減レンズのオーナーとなったボクは、ふと定食屋さんの客たちを思い出してはっとしました。あの健啖家のおじさんたちは、「…そういう年令」のボクよりきっと年下なのです。見かけはおじさんでもボクより若いからたくさん食べられるのが当たり前なのです。

ボクはその夜、自ら「おじさん宣言」して「ワカモノ」時代に別れを告げました。

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