OUR DAYS2005年2005/12/27

最初は風邪でした。忙しい年末年始に備えて大事をとり、仕事をほとんどなおみに任せてひたすら休養したのによくなりません。冬至の日の仕事帰りにお腹がきりきりきりと痛んでがまんできなくなりました。風邪薬や胃薬も、さんざん飲んでいてもう何を飲んだらよいかわからなかったので、都立B病院のERに駆け込みました。

暗い深夜の待合室にはかなり重篤な患者が待っています。高熱に泣き疲れたらしい赤ちゃんはぐったり母親に抱かれ、家族に支えられたお年寄りは前の椅子につっぷしています。長椅子には膝枕で苦しむ若い奥さんの背中を旦那さんがさすりながら励ましています。ボクも額に脂汗を浮かべながらひたすら待つこと1時間。ようやくスモークされた自動ドアを通って、診察室に入ると、若い女性のドクターです。

「胃潰瘍の既往歴があるのですが、どうも腸の方が痛むようなので、風邪のウイルスの症状ではないかと思いまして。」
「きょう、何を食べましたか?」
「(腹くだしならこんなとこに来ないよ(-_-))…ええ、風邪をひいているようなので、おかゆやパンくらいです。」
「診察台に仰向けに寝て…ここは痛みますか?」
「うがが、あたたた、胃ではなくて十二指腸から小腸にかけて痛みが強いようなんですけど」

女医さんがこわい顔でにらみつけます。

「胃も腸なのよ!!(怒)」
「は?!」
「『胃腸』って言うでしょ!!」
「…(ずっぴょーん(^^;))」

い、いかん。ここはこの小娘に逆らわず、風邪薬でも潰瘍の薬でもGETしよう(T_T)…ボクはとりあえず方針を変更しました。

「風邪のウイルスがお腹に来てますね。」
「は、はい」
「薬を出しておきましょう。」
「ありがとうございます。」

薬局から出された薬の袋を見ると「トンプク」と「ビオフェルミン」と書いてあります。やっぱり食べ過ぎと診断されたようです。食べ過ぎも飲み過ぎもしてませんって(T_T)…ボクと入れ違いに女医の診察室に向かったお年寄りが心配です。結局、車に戻って、手持ちのガスター10と風邪薬を飲んで帰りました。ホント、救急医療なんて運ですよね。

そして翌々日の早朝、ボクはあまりの胃の痛みに目が覚めました。なおみを起こさないように体をくの字に折って、小一時間ほど痛みに耐えていましたが、4時頃とうとう我慢できなくなり、ベッドから出て「とんぷく」と「ガスター」を飲みました。毎年、プレッシャーのかかってくるこの時期には、胃に注意していたのに、今年は風邪をひいたと思いこんで逆に油断していたのです。

「潰瘍だ。背中に痛みが回ってる。」
「どうする?救急車に来てもらう?」
「いや…」

ここで救急病院の宿直医に、また「とんぷく」でも出されたりしたら、それこそ手遅れになるかもしれません。幸い家の近くに胃腸の専門医が開業しているので、PCを起ちあげてなおみに調べてもらうと、土曜は9時から外来が開くとあります。この日はクリスマス会だったので、とにかくなおみを休ませて、ボクは全開にしたファンヒーターを背にしてしゃがみこみ、テレビの光と音で気を紛らわせながら朝をじっと待ちました。

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