初めてタローの鳴き声を聞きました。居間に作ったハウスにひとりで寝ているタローは、朝、さびしくなったようです。隣の寝室にいるボクらの気配に気づいて、きゅんきゅんきゅんきゅん鳴き出しました。部屋の戸をガシガシとこすり始めます。
飛び起きたなおみは、さっとしつけ方の本のページを確認して、
「しつけのためにはここで開けてあげちゃいけないんだわ。」
と扉のこちら側で我慢。それに気づいたのかタローはとうとう
「ぅおおおーんぅおおん」
と吠え始めました。意外に太い声です。ささささっと、ページをめくるなおみ。何しろそんな本だけで4、5冊あります。
「金属の大きな物音で脅かす!!」
ガッチャーン!!と鍵の束が床に落ちる音。ひるまないタロー、なおも
「きゅんきゅん、うぉーん!!」
ドアをはさんだ対決は10分も続きました。も、もう少し寝かせてくれー。 (ちなみにこれ、何のしつけだったのか忘れましたが全く無駄でした。)