OUR DAYS2006年2006.6.7

夜、タローに気づかれないよう家の30mほど手前で車を停め、なおみだけが降りて家へ忍び寄ります。そうしないと帰宅に気づいたタローが興奮状態となり、大小を撒き散らしながら走り回るからです。せっかくいい子で留守番していた日も、最後の1分でおじゃんになってしまいます。なおみはこっそり家に入るとタローの抱きつきに備え玄関でくるくるとスカートを脱いでから、素早く居間の戸を開けます。中からタローが弾丸のように飛びついてきます。

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4月の終わりに飼い始めて、連休中にばっちりしつけ、留守番できるようにするという甘い計画は完全に破綻しました。排泄物との格闘が続いています。

「ホントに大丈夫なのか?」

タローを飼う前にボクはなおみに何度も確かめました。二人暮らしが長いためか、妻はいささか潔癖性気味のところがあります。犬と暮らすということは、毛や排泄物が生活に入ってくるということですから、果たしてどうなるかミモノだと思って、このコンテンツを最初「タローと潔癖性」と名付けたくらいでした。


予想通り戦いは壮絶をきわめています。この一ヶ月で、ハウスはもう10回、クマのぬいぐるみは3回洗濯されて、白っぽくなりました。雑巾で床にしたソソウを拭いては洗うために、なおみの手は荒れ果てゴム手袋が必要になっています。もちろん、彼女だけではとても追いつかないので、ボクもひたすら雑巾をとっています。結婚16年の間、夫婦間ではほとんど発音されたことのなかった単語がびしばし飛び交うのがおかしくて顔を見合わせて笑います。留守番は短くても10時間近く、子犬にはかなり辛いものでしょう。ケージを使わずに放している6畳の居間はサンタンたるあり様でして、深夜の掃除は小一時間にも及びます。これは近く作戦変更を余儀なくされることでしょう。

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と言うのも、タローはすでにトイレがどこかを十分に認識しているフシがあるのです。ソソウをするのは、かまってほしくてわざとするときと、トイレが汚れてしまったときがほとんどです。留守番の間、トイレがいっぱいになると、トイレを中心に等間隔でしたあとが残っています。

「キレイなところでないとしない。ま、まさかこやつも、潔癖症なのでは…。」

病院でドクターにも

「やっぱり飼い主さんに似てますね」

待合室で一緒になった人にも

「まあ、飼い主さんにそっくり」

写真を見た人からも

「なんだか飼い主に似てる感じ」

…飼い主ってボクでしょうか、それともなおみでしょうか。

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