OUR DAYS2007年2007/5/2
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河原でボールフェッチをしていた。何度目か、タローが遠くでうずくまった。それからボールをくわえ直してよろよろと戻ってくる。足もとまで来てボールを離すとぺたんと伏せてしまった。前足が血で赤く染まっている。わんともきゅんとも言わないが痛くて立てないようだ。

ボクは落ち着いていましたよ。

まず、なおみに車で迎えに来るよう電話して、足をタオルでしばり、それから気合い一発、左の肩にタローを担ぎ上げた。真夏のような日差しが照りつける土手の坂をよろよろと登る。タローをなでてやりたいが、重すぎて足がふらつく。道路になおみが運転する車が見えた。

帰って調べると、小指と薬指の間がざっくりと切れている。洗って治療した。薬を塗るときはさすがに足をひっこめようとしたが、やはりきゅんとも言わない。

「えらいぞ。タロー」

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