OUR DAYS2007年2007/5/2
2

お昼前、それはPCに向かう足元で起こっていたのに、仕事をしていたボクはぜんぜん気づかなかった。買い物から戻ったなおみがタローを見て悲鳴をあげた。顔といわずシーツといわずそこら中、赤茶色に染まっていた。一瞬、チョコレートかと思ったが、もっと始末の悪いものだった。

ボクの油絵の具。

今まで一度も興味を示したことがなかったので油断していた。イーゼルの周りに無造作に置いていたのだ。当然大騒ぎになったが、どうやら土系顔料のベネシアンレッドだったようで一安心。金属系顔料じゃなくてよかった。シルバーホワイト(鉛白)だったら猛毒だ。油彩用のペトロールとオレンジエックスで何度も拭いたけれど、まゆや耳、口の回りが赤く染まってしまった。ベネシアンレッドはホワイトと混色して唇を描くのによく使われるので、ちょうど口紅のような色だ。尾にはさわやかな緑色のメッシュが入っている。こちらは一週間前にパレットの上で尻尾を振ってしまったのだ。

正午頃、春雷あり。

NEXT