山陰バスツアーに出発する夜、家の前でタローをぎゅっとハグしてから、お隣のタエちゃんにリードを託した。いざ、隣の家の玄関を入ろうとするとき、何かを感じるのだろう、タローがぴたりと動かなくなった。向こうを向いたまま、足をつっぱって家に入ろうとしない。ふだんなら、止めても乱入して一騒動起こすところなのに…。耳をぴくぴくと動かすタローの後頭部が目に焼き付いた。
「隠れるから、きりきりひったててくれ。」
と、タエちゃんに頼んで車の後部座席にもぐりこみ頭から毛布をかぶった。集合場所の茅野駅前まではなおみの運転で、ボクはそのまま仮眠した。
3泊3日目の夜、中央高速の渋滞が意外に早く解消して、10時半頃には帰宅した。同じ玄関から現れたタローはいつもの「おかえりタロー」ではなく、「飛びついていいでしょうか?」と窺うようにボクたちを見上げた。ずっと、こうしていろんな人に気をつかっていたのだろう。手を広げると、いつものむふむふおかえり攻撃に入った。
隣のタエちゃん一家がいかにタローをかわいがってくれたかは、驚異的と言っていい。
↓タローの留守番日記 by タエ
最終日の夜は
「もう、みんなお別れして、泣いたから、心の準備はできてるの。」
と、言って子どもたちは外に出てこなかった。
感想文↓
気疲れから、少しゆるくなっていたタローのお腹も翌日の夜には治り、窺うような視線も消えた。