OUR DAYS2008年2008/1/3

明けましておめでとうございます。

01

←3日の朝、代々木公園まで歩いて散歩しました。21分で着きました。

ボクたち、今年は東京でお正月を過ごしています。なんと弟が気を回して、昨日から父と母を八ヶ岳に連れ出してくれたので、ほーっんとにのんびりと休んでいます。新年最初、今日のネタはなおみが、お願いだからブログには書いてくれるなと必死に頼んでいたのですが、こんな話、書かいでかー。今、彼女はキムタクとさんまさんのテレビに夢中になっているので、このスキに、うっしっし…。元日のミステリー、始まり始まりー。

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元日の朝、ポストに届いた年賀状をなおみが持ってきた。母とボクとなおみ、それに一緒に年越しをした義母の4人でさっそくそれを広げた。冬の間の郵便は八ヶ岳から引き上げてきている両親宛てとボクたち宛てがあるので仕分けをしながら、

「○○さんは今年も木版だよ、きれいねえ」
「あらあ。○○さん、出すの忘れてたー!」(たいていそう言うのは母だ。)

などと、平和な正月の風景だ。穏やかな空気を切り裂いたのはなおみの声だった。

「あ!Kさんから来てるー!!」

Kさんは喪中で、昨年のうちに欠礼の葉書も受け取っている。名探偵シュウの灰色の脳細胞はすぐに推理を開始した。

「諏訪の方では喪中でも相手方の年賀は祝うとか…」

…ありえない。聞いたことない。

「これ!…」

なおみが再び叫ぶ。

「亥の絵が描いてある。ほら、去年届くはずだった年賀状よ。」

確かに、はがきの切手部分の図柄も亥だし、平成19年元旦とあるのはKさんの奥さんの手だ。

「一年遅れの年賀状が届いた。」

これは郵便局に知らせるべきだということになり、犬たちを連れてドッグランに行った帰りに代々木郵便局に寄った。事情を聞いて、課長さんが奥から青い顔をして出てきた。

「365日の遅配なんてありえるんですか。」
「すぐに内部調査をします。」

葉書を預かるために、名刺の裏に預り証を書く手が可哀想になるほどぶるぶる震えている。 これはやっぱり大事件なんだ。

ところが、その日、ボクとなおみがお年始に出ている留守に、郵便局から部長さんが葉書を返しに来たそうだ。母は

「原因不明」

とだけ言って帰ったと憤慨している。母もなおみも納得がいかない様子で、お節を食べていても今ひとつ盛り上がらない。ボクは一気に日本酒をあおって二人に言った。

「よし、あしたオレがもう一度行って、ひとあばれしてきてやる。」

年賀状と言えば縁起物だ。家族、それに喪中のKさんの気持ちを考えると「原因不明」で、ボクが、ああそうですかと言うわけにはいくまい。

02

明けて正月2日の午前中、ローラアシュレイの初売りセールに銀座まで出掛けるとき、ボクはかばんに一年遅れの年賀状を再び持った。帰りに、郵便局に寄るつもりである。銀座はほとんどの店が2日からで、賑やかだったが、ボクの気持ちは帰りのことを考えて晴れない。郵便局に行ったら、責任者に面会して、静かな調子で対応を糾してやるのだ。


皇居や明治神宮など、混雑する場所を避けながら車を走らせたが、休日の東京は慣れないドライバーが多く出ているので、車の数が少ないわりに時間がかかってしまう。買い物の間、後部座席で留守番しているタローの元気が今ひとつない。途中の公園で散歩もしてやったのに、とうとうぐったりとシートにのびてしまった。

「あー!!もしかして!!!」
「え?!」

なおみがタローの朝ごはんをやり忘れていたのが原因だった。もうお昼をとっくに過ぎている。

「仕方ない。郵便局は午後にして、いったん帰ろう。」

思えばこれが幸運だったとは、神ならぬ身の(もちろんタローも)知る由もなかった。

帰宅すると、ポストには年賀状の第二弾が届いていた。そしてその中に、今度は前日届いていたTさんからの賀状が入っていた。

「昨日の年賀状持って来い。」

なおみが探したTさんから元日に届いた年賀状にはやはり亥の絵があった。しかもTさんの葉書は写真専用紙に切手が貼ってあり、2008年1月1日の消印がある。これは動かぬ証拠だろう。急いで他の年賀状をなおみがチェックする。

「これも、あ、これも…」

なおみの目尻が少し光っている。怒ると出てくるなおみの涙は、教室の子どもたちにも恐れられている。しかし、名探偵の灰色の脳細胞は別のところで働き始めていた。なおみがチェックした6枚ほどのイノシシ葉書を並べてみる。

「Kさん、Yさん、Sくん…みんな喪中の家ばかり。Tさんは去年、喪中だったよな。郵便局の間違いにこんな傾向が出るのはおかしいと思わないか?…わかったぞ!!」

この事件の犯人は!!!

「え?!あたし?」

年末に仕事のピークが来るボクたちは、毎年、11月中には年賀状を書く。整理担当はもちろんなおみで、去年頂いた賀状を見ながら、手分けして、挨拶文や宛名を書いてゆく。そのとき間違いのないように喪中の方の葉書は予め別にしておく。別にまとめた去年の賀状をなおみがいっしょに投函したとしたら…。

こうして、元日早々のミステリーは名探偵シュウの推理で解決した。

「それにしても郵便局で暴れなくてよかったー!!」
「タローが朝ごはん食べてなかったから助かったのよ。」
「タローが朝ごはんを食べ損なったのも…。」
「あたしのせいだ。お手柄ジャン。えっへん。………ねえー!!お願い!!これブログに書かないでー!!」

なおみがいきなり首に抱きついて懇願する。何か楽しい遊びだと思ったのか、満腹したタローが周りをぐるぐる回りながら尻尾を振っていた。

講習が明けたら、郵便局の課長さんと部長さんに謝りにいかなくっちゃ^^;

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