土曜の授業が終わったとき、それに気づいたのはS香だった。
「シュウー!!タイヘンだー!」
まだ、居残りの中学生もいるのに、呼び捨てにすんなよ。
「どうした!」
「ほら!」
「なんと!こ、これは…!」
タローの右ひじに異変。直径1cmほど毛が抜けて皮膚が赤い。
「…皮膚病かもしれない。病院で診てもらおう。」
休日を待って、朝から患部に注意しながらタローをシャンプーした。
「薬を塗ったらシャンプーできないかもしれないものね。入院ってことはないわよね。」
「わからん。」
病院は休日にもかかわらずすいていた。
「座りダコですね。」
…と、ドクター。
「え!?」
…と、ボクたち。
「固いところで寝てませんか。」
そう言われてみれば、夏の間ずっとハウスのクッションには寝ていない。ひんやりを求めていきあたりばったりの場所で寝ていた。さすがにドクターもあきれて引き気味だ。
「暫くクッションで寝かせて様子を見た方がいいと思います。ご心配なら皮膚の組織を検査しますけど…。」
「あ、いえ。よ、様子を見てみます。」
逃げるように病院を出たレトばか夫婦であった。帰宅してから、ついでに歯磨き、爪切り、肉球まわりの毛切り、耳そうじとフルコース。タローには受難な休日となった。