OUR DAYS 2009年2009-10-29


試験を終えたばかりのM奈に急遽,夜の授業の代講を頼みました。M奈は携帯に「いつ(公式を)覚えんだ!」という,ボクの声を録音しました。授業のとき,子どもに聞かせたそうです。機転のきく子です。

実は八ケ岳の病院に入院中の父の主治医から呼び出しがあったので,翌朝いちばんの面会を申し込んだのです。夜のうちに向かわないと間に合いません。



地下鉄で新宿に着きました。



高速バスの乗り場です。めったにないことなので,駅弁買って「あずさ」に乗ろうと思ったのですが,運賃が倍以上になってしまうのであきらめました。職場でドレミのお弁当食べて,八ケ岳方面高速バスに乗ります。

つい数日前,車で往復した中央高速。平日の最終バスは慣れた乗客で満席です。どこの停留所にも迎えの人影はありません。乗客は淡々と降りてから駐車場に向かいます。迎えの車や停めておいた自分の車に乗るのです。ボクだけ,母が愛犬マロンを連れて停留所のホームで手を振っていました。「かっこ悪いなぁ」



流れ星を見て,母の煮物でビールを飲んですぐに寝ました。


朝,目を覚ますと,八ケ岳しらべ荘は紅葉の中。


病院に出掛けるボクと母をうらめしげに見送るマロン。父の入院中は留守番ばかりでかわいそうです。
医者が「奥さん以外にもう一人家族が立ち合ってください。」などと,やたら意味ありげだったため,何ごとかと案じていましたが,話は退院後の介護についての相談でした。なーんだ,仕事を早退して来るほどのことなかったじゃん。気丈なようでも,病院のスタッフから見ると,母は頼りなく見えるようです。

病院を出ると,もう上りのバスに乗る時刻が迫っていました。



こうして病院やバス停に行くことが頻繁になると,この車…母がお気に入りのミツオカクラシックでは少し心もとない気がします。母の運転は大丈夫です。八ケ岳暮らしを始めた頃,ボクが特訓しましたから。



「おふくろ,かっこ悪いから見送りはやめてくれ。」
停留所の前で母を帰してからホームに上がりました。ホントは一人で残る母に見送られるのが辛いからです。空は快晴,山は美しく秋色に染まっていました。



途中,甲府盆地のサービスエリアで休憩があります。乗客はたいていここで家族などに到着予定時刻などを連絡します。ボクもドレミに「父の病状は大事なし」とメールを送りました。



せめて帰りくらいは新宿に着いてからおいしいものを食べようと企んでいたところが,母に,朝作ったポテトサラダのサンドイッチを持たされてしまいました。まあまあおいしいけど,じゃがいもやかぼちゃがゴロゴロと入っていて,見た目が悪いのです。窓の景色が,ビル街に変わる頃,こっそり膝に広げて食べました。誰でもそうですが,おふくろのサンドイッチには弱いのです。泣けてきます。


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