老夫婦
公園を散歩していると,よく見知らぬ老夫婦などが真っ直ぐに歩み寄って来たりする。
「昔,飼っていたんですよ,…ゴールデン。」
タローがぶんぶん尻尾を振る。
「そうなんですか。」
他にかける言葉がない。タローではその夫婦の犬の代わりにはならない。老夫婦はむしゃぶりつくタローを撫でながら遠い目をする。
10数年後,見知らぬゴールデンに歩み寄るのボクたちの姿だ。ただ,ボクは人目も憚らず,タローを思い出しては落涙するだろう。