八ケ岳美術館の前を走っているとき，突然バーンという乾いた音。
すわ！狙撃されたか。…って，ないない。ありゃりゃ，左後輪のサイドがぱっくりバーストしちゃってるよ，とほほ。JAFに電話しないで自分で作業する気になったのも，たまには妻や息子にいいとこ見せようとしたからだ。
車載工具でタイヤ交換なんて何年ぶりだろ。ジャッキアップしたところに，いきなりスコール来るし。なかなか過酷ムードが出てきたぞ。なおみが傘を差しかけたり，ボルトを並べたりするのが煩わしい。えーい！男の見せ場だ！タローと一緒に木陰にすっこんでろ！
きゅきゅきゅのぐりぐり，ちょちょいのちょいと。一丁上がり！（元）走り屋には軽いぜ。ぱんぱん，手のゴミ払う。さてと…，バーストしたタイヤをトランクにしまって…。
うー，んが。あら？
うがががー，んが。
「なおみ，悪いけど，そっち持ってくんない？」
てなわけで村の農協の修理工場まで下りたが，タイヤは損傷が激しく修理不可能。スペアのまま，時速80km制限で東京に向かった。およそ周囲でいちばん遅く走るのは，意外に楽だということを発見する。
で，もともと買ったときからヤマが乏しかったので，これを機会に4輪とも交換することにして，いつもの後輩，FKモータース。
「もう80km以上は出さないことにするから，ドーナツでいいや。」
「シュウちゃん，ドーナツにゴーマルなんてありませんよ。」
「へ？」
「レグノだと，1本2万2千円くらいです。」
「え，えー！！」
結局，日本製なら何でもいいからと頼み，トーヨーのスポーツタイヤを履かせてもらった。犬を乗せる車にインチアップはやめましょう。