父の介護をひとりでしている母のご機嫌伺いで,いつもの年より頻繁に八ケ岳に行っている。
1日くらいでは何の手伝いになるわけでもないが,それでも草刈りなどに精を出し,父をなおみに任せてプチ撮影行などに連れ出すと,少しは母の気分転換にはなるようだ。
タローは耳の後ろの傷が治らない。いけないとわかっていても,無意識に足で掻いてしまうからだ。
ノー!!」
と,言えば「しまった」という表情で直ぐにやめるのだが,その一掻き二掻きで,せっかく乾いていた傷口がまた血だらけになってしまう。山でエリザベスカラーはいかにも不憫なので,古い靴下を履かせ,帽子も被らせた。
梅雨真っ只中で,いつもの淵はかなりの水量と流速だが,タローはものともしない。淵への往復もぴょんぴょん跳ねるようにはしゃいでいる。
夏の旅行に備え,あえて限られた道具と水でいくつか写生してみる。やはり,イーゼルとパイプ椅子はどうしても必要なことがわかった。しゃがんだり,スケッチブックを手に持ったりしていては,作業が捗らないし,根気も続かない。スランプもなかなか抜け出せない。