OUR DAYS 2009/3才2009/7/10

職場近く,いつもの散歩道。野球グラウンドからホームランがボクたちの頭上を越えて河原の草むらに落ちた。少年野球ではロストボールをそんなに真剣には探さない。ある程度,運営予算内ということなのだろう。でも今日は20代とおぼしき5,6人の若者の草野球だったので,全員がグラウンドから下りてきてボールを探し始めた。が,折しも夏草の生い茂る季節,見つかるものではない。

タローと水辺まで行って戻ってもまだ探している。気の毒になって声をかけた。

「見つからないの?」
「ええ。」
「探させてみようか?」

返事を待たずにタローのリードを解いた。一人ひとりにじゃれついてはしゃぐタローを見ていて,誰もが苦笑いしたが,

「タロー,ボール!」

と声をかけると,クンクンと鼻をならし始め,2分足らずで,彼らがさんざん探したはずの草むらからボールをくわえてきた。

「タロー,オフ!」

ぽとりと地面に置く。

「これですか?」
「あ,これだ!すごい!名犬だ。」
「タローくん,ありがとう」

みんな感激しているが,タローにとっては造作もないことだ。何をほめられたのかわからずにきょとんとしている。尚も賞賛の嵐が続く中を名犬とその飼い主は照れながら去っていくのであった。

(補足)タローが見つけられるのはもちろんボールだけです。


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