OUR DAYS2010年2010/9/25

昨夜来の雨が降り続いている。タロ散を終えてからまたベッドに寝ころんでいると、掃除機を終えたなおみがチーズとコーヒーを運んできた。

「きょうは何するの?」
「恵山の油彩を描き直す。」
「ふーん、じゃ、あたしは銀座に行ってこようかな。」

別に「じゃ」じゃなくても決まっていたのだろうが、このヘン、一応気を遣っているのである。

「まず、ローラアシュレイに行ってぇ、ザラに行ってぇ、新規オープンしたデパートをチェックしてぇ…」
「お前、貴重な休みなのによくそんな苦行に耐えるよなぁ。」
「…それからぁ、…」

…聞いちゃいない。

「…秋だからモンブランを買ってこようかなぁ(ごっくん)…これなんだけど…」

と、言いながらグラビア雑誌の「秋のスイーツ特集」ページを開いて見せる。朝見るのはかなり厳しいこってりケーキの写真が並んでいる。

「すまんが、それはどうしても見なくちゃいかんか?」
「…これが資生堂パーラーのモンブランで、これが…。」

…聞いちゃいない。

「グラマシーニューヨーク(…のスペシャルメニュー)が米粉のモナカっておかしーでしょ!!」
「…そ、そうだね。」

逆らうべきではない。逆らう理由も必要もない。

1

なおみは軽くおしゃれして冷たい雨の中を出掛けて行った。タローはチーズのおこぼれが少なかったので、ふてくされをアピールしている。先日、2ヶ月ぶりに描いた油彩は色がどうにも気に入らないので初めから描き直そうと思う。

2

それにしても肌寒い。つい10日前まで厳しい残暑にうんざりしていたのが嘘みたいだ。こりゃもう季節なんていいや、今夜は鳥鍋で焼酎のお湯割りにしよう。そうと決まったらボクもこの油彩苦行を片付けちゃおうっと。 

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