お江戸の桜は満開との報なれど、それはお上が標準木の靖国境内だけの話。何れ名所はまだ6、7分咲きで満開は週末のようです。しかして桜の精霊に取り憑かれたる我がなおみにはとても待ちきれるものではありません。
「デパ地下のお花見ちらし寿司買ってどっかに寄り道して行こうよ。」
…とぞ申さば、出勤前に俄かお花見とあいなりました。
明神下から池之端に出てみれば上野の山は霞むが如く、白鳥のボードも楽しげに浮かんでいます。
不忍池の真ん中を通りかかると、折しもぽっかりベンチが一つ空くも、日頃の行いや良しとて、さっそくデパ地下弁当を広げます。
官軍が入府以来、やたらといじくり回され今や恩賜公園となった上野の丘も、桜ばかりは変わらぬ華やかさ。
先日、諏訪の高島城跡で観鯉の粋を知ったるタロー。楽しそうに池をのぞき込みましたが、そこはさすがにお江戸の鯉とてイキや良し。
ばしゃん!
と、跳ねての水しぶきに驚いたタローは腰を抜かしてしまいました。へたり込む様子が行き交う花見客の笑いを誘います。
春です。