サラダ記念日です。
俵万智さんが衝撃デビューしてからもう四半世紀経ったんですねえ。
最近はなんとNHKにまでケータイ短歌などとふざけた番組が登場し、ツイッターのつぶやきを31文字にしただけのようなものが、新しい短歌のように言われています。
ともすれば俵さんの作品も思いつくまま、感性だけで綴ったように思われがちですが全く格が違います。
万智さんが愛しい彼のために料理したのは、実はサラダではなく唐揚げだったことはあまり知られていません。俵さんのエッセイによれば、彼が「この味がいいね」と言ったのは、カレー味の唐揚げで、その日は6月7日だったそうです。唐揚げ記念日だった元歌は推敲に推敲を重ねられてサラダに変わり、日付はロマンスを連想する七夕の一日前になったそうです。やはり、人の心をつかむ作品とはそういうものかと感心しました。
詩情が現実に優先するという考え方は芭蕉に通じるところがあります。サラダ記念日の中でボクがもっとも衝撃を受けた「カンチューハイ二本…」の歌も、もしかしたら缶ビールだったのかもしれません。