OUR DAYS2012年2012/9/30

タローは隣のタエちゃんが大好きである。隣のタエちゃんは美人でタローをとてもかわいがってくれるからだ。隣のタエちゃんが仕事から帰ってくると、なぜかタローはすぐに気づく。だだっと庭に面したサッシ戸のところまで走って行って

「うおおおおおおん!!」

と、鳴くのである。ふだん、「ふぐぐぐ」とか「きゅんきゅうんきゅん」としか言わないタローが、これだけはっきりと吠えることはめったにない。

さすがに隣のタエちゃんも、今夜はタローの必死さにほだされたのか、

「シュウさーん、タロー、ウチに借りて行っていい?」

と、庭づたいにやってきてくれた。やさしい子である。タローは狂喜、小躍りしてタエちゃんの後ろについて隣のウチに遊びに行った。

…15分である。

たった、15分でタエちゃんが戻ってきた。一緒にお布団で寝たとたん、がばりと立ち上がり、そわそわとドアまで行ったそうである。きゅんきゅん言いながら、とうとう自分の鼻で戸を開けて階段を駆け下り、玄関で、

「開けてよ。」

と、タエちゃんを見上げるのだそうだ。

「あたしがいい子いい子してるのに、15分でホームシックになるとは、タローもずいぶんじゃなーい!!」

隣のタエちゃんがフンガイするのも尤もである。

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