二日がかりで作った荷物は,もう自分でもどこに何が入っているかわからなくなっている。
春が来て,母とマロンのしらべ荘での日々がまた始まる。
マロンのストレス多き3か月半は終わる。
雨上がりの八ヶ岳山麓は暖かだった。
母を迎えに来て墓参りした12月はついこの間に感じ,三人と二匹でしらべ荘に過ごした正月はとても遠い日に感じる。
しらべ荘の玄関に,鉢植えと歓迎のメッセージは,パンさんの奥さんの心づくしだ。
しばらくすると,MさんやKさんの奥さんも相次いで顔を出してくれる。
母のひとり暮らしに何の心配もない。
止水栓を開け家の中の水道管をチェックする。
北西の角には雪が残っていたが,今年の雪は少なかったそうだ。
タローの圧力から解放されたマロンがまことにのんびりとベランダの陽だまりに寝そべっている。
荷物運びの次は母のミズイロライフにバッテリーを載せる。
向きが分からなくなって困ったなと思ったら,母の字で「前」という貼り紙があった。
記憶にないがボクが指示したことは確かだ。
3か月前の自分にあっぱれを送る。
バッテリー装着。
昨秋新調したばかりだし,毛布にくるんで日当たりのいい室内に保管していたので見事一発始動!!
ひと眠りして菊池華田始め知り合いに挨拶回りする。
猫の手さんには早くも春の畑作りを依頼してきた。
ギガンチウムのおばさんは
「とうとうこんなになっちゃったよ。」
と立てなくなったことをアピールしているが,去年も一昨年も同じことを言っていた。
「イマムラさんははあ,元気でいいだにぃ」
ガソリン代高速代として昼も夜も母におごってもらう。
久しぶりのかつみ庵,イワシの入荷有り。
5月に喜久雄ちゃんが来たら,ここに連れてきてあげてよ。
この揚げイワシ喜ぶと思うな。
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人がうらやむほど仲の良い嫁姑であるなおみとかこママにもそれなりの確執はある。
タローとマロンが3か月も共同生活しているとストレスが溜まってくるのに似ている。
それでいいと思う。
それがしらべ荘で1/3年を暮らす母のモチベーションになっている。
一人は寂しいけれど,友だちを大事にし,庭をやり,自分で炊事も洗濯も掃除もする。
暮らすということ,生きることはそういうことだろう。
母のことだから,本当に気力体力的に難しくなったら,自分で判断するだろう。
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パソコンをセットアップしたら,もうすることはなくなったので,大河ドラマを付き合って見た。
昼は暖かかったが夜はやはり冷え込んだ。
9時過ぎに東京に向かった。ボクの車が見えなくなるまで母は手を振っていた。