OUR DAYS 2023年2023/6/23-25

6月23日/絵本店の72時間

金庫や領収書、釣り銭…なおみが準備している。すべて数か月前まで受付で使っていたものだ。袋も準備した。LINEで繋がっている人たちへの連絡もなおみ。教室をやっているときと変わらない。


看板を準備する。


本と備品を満載してイザしらべ荘を出発!!


東京に入り,開店直後の亀戸の有隣堂に販促に来た。


書店の本棚に自分の本があるのは不思議な気分だ。


大家さんに挨拶して準備も完了。臨時絵本店,開店です!!


ちなつ1が花籠を持って来た。


大学のレポートも手伝ったっけ。


今年卒業のダイキ2。珍しい鉄道関連の高校を志望したが実力が足りない。そこでなおみがマンツーマンで音楽まで定期試験対策して推薦の基準をクリアした。


ショータ3とお母さん4。お母さんの熱意に負け,閉校予定のため受験科の募集を停めてから預かった。4年生の間しか見て上げられなかった。悔いの残る子のひとり。


サヤ5。途中になってしまった子のひとり。なおみ先生大好きでべったりと懐いていた。


コウセイ6が来る。ボクがムリと判定した志望校をチャレンジして落ちた。敗北か,志望校を変えるようにもっと説得すべきだったか,それとも納得して散ってよかったのか。今でもそれはわからない。こうして来てくれることがうれしい。


ミカ7はボクに最後の黒星をつけた今年の卒業生。ボクはゼッタイに負けられない戦いにいったい何度敗れたことだろう。


奥に座っているおじさん…というより見た目おじいさんはムー8。大学時代の同窓生である。Facebookで出店を知り,サプライズで駆けつけてくれた。年下とは思えない。


ユージ9は高校から水産加工会社に就職した。毎年暮れになると社販に声をかけてくれた。彼のホタテやカキがなければ正月が来なかった。


カホ10。彼女の屈託ない明るさに何度助けられたか。ぶっちぎりの成績で三田に合格した。


お客さんが途切れると注文をもらっている水彩画制作。


アキナ11が来た。


多摩センター時代の教え子だが,大学生のときに移転後のアイシークを訪ねてきて事務のアルバイトに入ってくれた。そしてその給料のほとんどを使って第一次ウィークリーニューヨーク留学に参加した。ボクたちの宝物である。


マナミ12は移転後の1期生。国立の付属中学から小石川高校を受けるために夏を過ぎてから入会した。歴代教え子の中でも5本指に入る学力だった。半年ですべてを吸収し,あっさり合格。さらに小石川から推薦で慶応に進学し,アイシーク高校部の講師としてアルバイトしてくれた。


楽しいね。


マナミの娘さん13。生まれたときに彼女の家まで会いに行った。眼の光が強い。この子を預かったら桜蔭でも日比谷でも通す自信がある。


サクラ14とお母さん15。暮れのコンサートにも揃ってきてくれた。


マリコ16。中3のときに難関校の国語の過去問を解いて何度もボクの点数を上回った。記述問題で負けた経験がなかったのでホントに悔しかった。プレッシャーの中で青山に合格したが,高3のとき心を病み,やせ衰えて教室を訪ねてきた。ボクたちは高校中退の彼女を強引に冬期講習の国語の講師に採用して励ました。その後は急速に回復してあっさり高卒認定をクリアし,なんとほぼ独学で絵を勉強し日芸のデザイン科に合格してしまった。卒業制作も見に行った。今はデザイン会社に勤務し,ボクよりあきらかに上手なイラストを描く。どこまでも心憎い教え子であることよ。


オメグ17と甥っ子18。一族の子たち5人が次々とアイシークに学んだお肉屋さんのひとり娘。甥っ子の父親も教え子で,農大の網走校在学中にこの子を生んだ。ボクたちは北海道まで祝福に行ったっけ。もしもこの子が入会するまで続けられたら,夢の親子二代教え子が実現するところだったが残念だった。


ちー坊19は大家さんの孫娘。性格ことのほか良し。彼女を託されるのは当然の成り行きだったが大きなプレッシャーをはね返し抜群の成績で三田に合格した。ともに戦った彼女とは同志に近い感情がある。小学生のときから絵が好きで美大に進学した。将来はボクのライバルとなる可能性が高い。わっかー20は完璧主義だった。なんでもきちんと最後まで丁寧にしないと納得できない。当然ながらたいてい人の倍は時間がかかる。それはアイシークでは美徳だったが中学では煙たがられたのだろう。提出物を期限までに終わらせることは至難だった。先生や心ない友だちに受け入れられず不登校気味となった。個性を受け入れられないのが日本の公教育の現状である。だがちー坊たち親友とお母さん,そしてわっかー自身の努力で進学した。こちらはお母さんとボクたちが同志だった。


来た来た。今年の卒業生たちが集まり出した。カズ21,アヤネ22,イツキ23。ホントに気のいい優しい子たちだったけど,勉強させるのはタイヘンだった。


代表格がこの男。ソータ24。姉,兄と歴代数々の逸話を作ってくれた。この子たちがコロナ下のボクたちをメンタル面で支えてくれた。みゅう25。彼女ほど生真面目な子はなかなかいない。課題や宿題,言われたことは必ずやり切った。彼女の努力に応えられたかどうか。いまだに思うことがる。コロナでバスを利用させたくなかったとき,雨の日に車で送迎したことがよくあった。ある日,連絡がうまく伝わらずみゅうが道に出ていないことがあった。携帯電話が通じてマンションの外廊下を猛ダッシュする彼女が見えた。あまりにも懸命に走るその姿が忘れられない。


セーオン26とお母さん27。初めて会ったのは小3のときだったか。存在感が希薄で妖精なのかと思うほどだった。とうとう「ん」と「はい」以外の有声音を聞かなかったがボクたちをとても慕っていることはよくわかった。お母さんに差し入れてもらったナッツを「おいしい」と伝えたら,以来機会あるごとにどっさりと頂いた。先日は山にも届いた。


ヒカリ28とココナ29とお母さん30。姉妹とも国語は恐ろしいほどよくできて,算数は信じられないほどできなかった。妹は四谷大塚の合不合判定テストで一度,国語の偏差値で全受験生中一桁の成績を取った。開成や女子学院など超難関校をゲットしてきた歴代のツワモノたちもなし得なかった大記録をボクの戦績に加えてくれた。…が,算数の偏差値は40だった。そろばんを習っていて計算は滅法早い。たぶん,考える前に計算が始まってしまうことが苦手の原因のひとつと思われる。あと数年もすれば二人とも数学的思考のバランスも取れてくるだろう。


マイコ31と新婚のご主人32。そして第一期ニューヨーク生のユミ33。


*34。体脂肪率は何%なんだろう。芸能プロダクションに所属して役者を目指している。ここまでやるんだ…。彼の従妹は何度も紅白に出場しているグループでセンターも務めているアイドルだが意地でもその伝手は頼りたくないと言う。がんばれ!!


*35とお母さん*36。娘さんばかりの子だくさんで,上から二人までが教え子。3女以降も次々と入会予定だったのにと残念がってくれるお母さん,とてもアトラクティブ。


初日を終えて靖国通りを幡ヶ谷に帰る。

6月24日/2日目


開店。


しおり37。ほぼオール5の内申を取ってお母さんと抱き合って喜んだのも束の間,まさかの本試験で逆転敗北。でも圧倒的な内申でいい私立高校の併願推薦をもらっていたので事なきを得た。5年生のときからの教え子だったから負けたくはなかったなぁ。やっぱり理数の力不足だったと思う。ボクの責任だ。


はるか38とアメリカ人のご主人39。はるかはなおみのことをおとぎ話の王女さまだと信じていた。エッセイに何度も登場している子なのでここでは書ききれない。兄もウチの教え子でお母さんとも何度も飲んだ。


ハルカはボクたちの宝物。


クワバラくん40がサプライズ登場。中学のときの同級生で最近Facebookでつながっていた。


ケン41とショウタ42は暮れの「勝手に同窓会」でも会った。


ショウタの子。子だくさんで三人連れてきた。


奥さん(笑)


これにはびっくり。卒業以来音沙汰のなかった*43が奥さんと子どもを連れて来た。*が如何にやんちゃだったか奥さんに言いつけておいた。


はい,ノゾミ44。早く山に遊びに来てね。


トモヤ45。大学を卒業するとき就職が決まったと報告に来た信用金庫を退職していた。融資停止や資金回収の仕事が辛かったそうだ。見かけによらずそういう優しい子なのだ。


ももちゃん46とお母さん47。ボクの絵のファン。


ショウ48。マナミの弟,すっかりいいお父さん。


この二人,野球部の主力で手に負えないやんちゃ者だったという共通点あり。ここで初対面したのに,案の定話が合い盛り上がっていた。


*49,*50,*51。違う中学なのにやたら仲良し。今,中3のトリオである。


閉校がなければ今頃は合宿に向けて彼女たちと勉強中のはずだった。


そして中2(別れる当時は中1)の子たち。ごめんね,みんな。


アイサ52,*53,ミユウ54,*55。


タカ56。この学年も仲が良い。


*57,*58,*59はタローと生年月日が同じ,お母さんの名前もなおみ,しかも彼は町田コダーイの庸生先生の教え子だった。入会面談のときにどれほど驚いたことか。


*60とお母さん61。お姉さんはボク史上最大の敗北の一つで第一志望の都立高校に不合格した。弟はその直後に入会した。


コンサートのとき渡せなかったので,なおみ先生にチョコレートをあげたかった。


*62が合流。


時がスリップしたような感覚。


同窓会が始まる。


ようやくこの学年が揃い始めた。サキ63,リリ64,アミ65,コマチ66,ユヅ67,リョーコ68。


「誰かわかりますか?」…わからなかった。思い出してしまえば表情は昔のままだった。タイキ69,*70。


学年が入り乱れて来た。


初対面のはずだがキレイなお姉さんたちと話し込むタイキと*。


大家さんの好意で開いている室内に乱入。


空気椅子。


サキとコマチも…。


何気に紛れ込むタイキ。


サヤカ71とお母さん72。なんと***をお祝いに頂いた。


お母さんの愛犬エルとタローと九十九里に泳ぎに行ったのがついこの間のように感じる。


コーキ73と*74。コーキはアミのお兄さんで*の弟。東日本大震災のときにはもう教室の中心だった。数々のエピソードを作ったが,東大合格には驚かされた。なぜか最初から頼んだわけではないのに,暮れのコンサートのときも春の引っ越し荷物運びのときも流れで主力要員となった。


今日もサイン責め。


*75,*76,*77,*78。


ほぼ学年全員が揃った。あれ?リョーコがいない。土曜だけど大学行ったんだって。筑波は遠い。


リリ大好きなスリーショット。


この子たちも仲がいいね。


遅れて同学年の*79。誰かが呼んだのだろう。


72時間スペシャル3日目。


マナが再び登場。


お散歩盛りのケイちゃん。


Twitter友のHiroshiさん80,市川からはるばる登場!!


*81。高校で調理師の免許を取ってレストランに就職したが,少々ブラックの職場だった。ときどき駅からの帰宅途中にふらりと立ち寄っては放心したように事務室でコーヒーを飲んでいった。


30年モノのパーコレーターがフル稼働。職場も変わって今日はコーヒーを飲む表情も明るい。仕事はやっぱりタイヘンそうだけどね。


大家さん82は大口のお客さんでもある。夕べは暗くなって難儀しているようだったから…と,投光器をセッティングしてくれる。ここを職場にしてホントによかった。


セーオンと*がまた寄ってくれた。二人は山に遊びに来ることになっている。


ケイカ83,*84,*85。


モロにコロナの最初の年。この子たちを合宿に連れて行ったことはボクたちの賭けであり,今となっては誇りである。


勝手に同窓会の態勢に入った。


*86とユウカ87の姉妹。


コロナの宅配のとき,午前中にも課題の回収に行っていた。なおみが車の助手席から電話をかけると「はい!ヤマ〇〇ユウカです!!」と元気な声で名乗りながら出る。いやいや(;^_^Aボクたちからの電話とは限らないからいきなり個人情報を発してはいけないよ…と,言いつつその声にどれだけ励まされたことだろう。


*,*,***三兄弟のお母さん88。教育熱心で一家言をお持ちの方だった。こういう人に選び続けてもらったことは誇りである。


ナナミ89。5年生のときはボクの背中と言わず膝と言わずよじ登っていた。第2期のニューヨーク組でもある。バッテリーパークだったか二人だったとき,変哲のない場所で「先生!ここで撮って!」とポーズした。何がよかったのだろう。今度,聞いてみよう。きっと覚えているだろう。


*90とお母さん91。寡黙なこの子も中3。今,一緒に勉強していないのが不思議なほどだ。コトノの弟で,面談の最中に土砂降りになってお母さんをお送りしたことがある。途中で横断歩道を渡っているコトノを見つけた。何だか鮮明に覚えている。


ナツ92。


ナツの子93。お客さんは彼でした(笑)


*94,*95とお母さん96。ドラマを作ってくれた二人。妹は「人魚姫」のモデルになった。


**97,アヤ98,マイ99,お母さん100。*のことは忘れられない。授業のとき話をよく聞いている子はたくさんいる。だが彼は特別である。息抜きの駄話でも一心に聞いている。目がちがう。目が合うとこちらが気恥ずかしくなるほどだった。勉強のできる子とはこういう子だ。超難関の戸山高校から慶応に進学した。ボクたちの大勝利,同じ年にコーキは西高校に合格した。アヤは「ごんぎつねの里」の女の子で国立大学に合格したばかり。。マイはタローに手紙をくれた「まいちゃんの手紙」。近所から錦糸町の近くに引っ越した。アヤもマイも自転車で片道30分以上の道を通ってくれた。


**,二度目の登場で寛いでいる。


*と*も揃って二度目の来訪。


そうか。ナツと*はもう親子ほどに年が離れている。


*101は*102と二人で来てくれた。もろにコロナ只中に受験だったので,この二人をほんとによく送っていった。*とセーオンは車の中で二人きりになるときに何か話さなければいけないと思うらしい。でもへんなことをしゃべって,やぶ蛇に叱られるのも怖いので,次第に賢くなった。すなわち,ボクの語りたそうな話題を質問するわけである。先生,こんな日の低気圧はどこでできるんですか。…ぜったいに一生,興味はないことだろう。。


**三兄弟の真ん中*103が駆けつけた。なんとサッカーコーチになる勉強のため,この春,ボンのクラブチームに行く。ラーメン屋のバイトもゲットした。


ナツキ104が来てこの学年も再び集まり出した。ボクはこの年アヤだけでなく,ナツキでも敗れた。しかもナツキのお姉さんも落としている。彼女たちの入試のひと月前に戻りたいと思うあまりに夢に見ることが多い。


*105。最後の生徒と言っていい。私立中学の2年生だった去年の秋,お母さんから入会申し込みの連絡をいただいた。すでに閉校を公開していたので丁寧にお断りのメールをした。数か月しか見られない上に中学部は入試対策に特化した授業になっているので私立中学の補習には向いていない。「それでもいい。アイシークに入れたい」とお母さんから返信が来た。彼女は中学で不登校になっていたのだ。勉強も遅れていた。ボクは特別扱いはせずふつうに厳しく接した。なおみも手を尽くした。彼女は特に楽しそうにもしていないが嫌がるでもなく,ほぼ欠席なく閉校まで通塾した。その彼女が暮れのコンサートに来たいと言ってきたときは少し驚いた。そして別れて4ヵ月,今度は絵本を買いに来た。ボクたちは彼女に何をしてあげられたのだろう。


イッペイのお父さん106とお母さん107が偶然犬の散歩で通りかかった。イベントに驚いて絵本代を取りに帰り引き返して来てくれた。仲の良いご夫婦で,イッペイが卒業したあとも,ボクたちが教室を閉めて帰る時間頃によくお二人で今日のように犬の散歩で通りかかり挨拶した。ワンちゃんは2代目になっていた。


イッペイ108にも絵本屋の件は連絡がLINEで行っていたはずである。おそらくご両親にどやされたのだろう。慌てて飛んで来た。ちっとも変わらない。


リュウタロウ109も偶然通りかかった。番号をふるべきかどうかビミョウである。なぜなら絵本屋に来て購入しなかったのは彼だけだからである(笑)。


最後にコトノが110とうとう来た。チカたちにせっつかれ,お母さんにも言われたのだろう。ただしお母さんに連れられてである。実は病的な恥ずかしがり屋になってしまっている。コンサートにも閉校のときにも訪ねてきてくれたが,話そうとするとお母さんの後ろに隠れてしまう。中学生のときは,そばかすのかわいい元気でアトラクティブな子だった。今はご覧の美形であるが彼女に何があったのかは知らない。ボクたちに何かできることはないだろうか。


コトノを待っていた子たちと一緒に写真。


年代もばらばらの子たちが盛り上がっている。


いぇーい!…いやいやもう閉店だよ(;^_^A

帰る気がない(笑)


3日間の絵本屋で訪問者ナンバーを少し超えるくらいの絵本を買ってもらった。もちろんみんな絵本を買いに来たわけではない。ボクたちに会いに来てくれたのだ。ボクの絵はまだまだこれからである。


一冊だけ知り合いではない人が絵本を買ってくれた。旧教室の改装に来ていた工務店の人である。なおみが気を使ってコーヒーやお菓子をさいさいに差し入れていた。最初は義理で見本のページを繰って,それから興味を持ったようでお子さんに買ってくれた。ボクの絵にはその程度の力はあるようだ。

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