OUR DAYS2007年2007/3/25

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日本にさえ薄墨色なんて表現があるくらいで、まして外国人から見れば桜の色はほとんどグレー。

「なおみ、なんだって日本人はあんな地味で盛りの短い花が好きなんだ?」

親しくなったアメリカ人も韓国人もプエルトリコ人も中国人も口を揃える。これはもう、遺伝子に刷り込まれている謎ですね。

土手や堤に桜が植えられるのは、みんなが花見に来て、地面を踏み固めてくれるからという理由で江戸時代に奨励されたからだそうだし、平安時代に梅に比べて桜の歌が少ないのは、中国の詩歌をお手本にしたかららしい。

東京でもソメイヨシノが開き始めて、なおみのテンションも上がっている。ボクもさくらが好きだけれど、なおみのは異常といっていい。桜が咲くと何かに憑かれたように浮き浮きしている。ボクとタローは彼女に逆らわないようおとなしく従っている。

あしたから春期講習。もともと桜の季節を外して3月中に終わる日程を組んでいる。生徒たちの家族のお花見に配慮しないと、欠席が多くてやりにくいからだ。ところが、ここ10年くらい、東京では3月中に満開になる。若者たちのさくらの歌も卒業にからんだものが多い。数日前のニュース番組で解説者が「出会いの頃の花ではなく、すっかり別れの季節の花になってしまいましたね。」と、コメントしていた。確かにボクが子どもの頃は、入学式の頃に桜吹雪だった。

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