OUR DAYS 2018年2018/3/11

なおみが少しへんだ。仕事のカバンを持ってジムに出かけたり、ジャージを後ろ前に買い物に行ったり,およそこれまでの彼女からは考えられないうっかりが頻発する…先日は鍵をなくした。

鍵と言っても7つもまとめて大きな金属製のホルダーに付けた束でとてもなくなるようなしろものではない。まして落としたりすればすぐにわかるだろう。でもないものは仕方ない。探した。家も事務室も,心当たりのデパートに駅,地下鉄…。

「もう一度,聖域なく探そう。」

事務用の大きなかばん,デスクの抽斗,ボクのかばん,カメラバッグ,ベッド回り…。そしてとうとうギブアップ。車のスマートキーはかなり高価だし,職場の共有ゴミ捨て場の鍵は再申請しなくてはならないが仕方がない。明けたらトヨタとマンションの管理組合から連絡を始めようとしていた週末,さる駐車場で車に鍵をかけようとすると…

ぴぃいいいいいいい

…警告音。ん?とじ込み防止機能が働いている。これまで車内のどこか電波が遮断されるところにあった鍵が何かの拍子で反応した?

車をスーパーの駐車場に移動して,トランクもキャリーボックスもすべての荷物を下ろし,エンジンルームからタイヤハウスまで探したがやはり見当たらない。荷物を積み直して鍵を操作すると施錠した。スマートキーの誤作動だったのか…。そこへ人ごとのようにノーテンキにスーパーで買い物をして戻って来たなおみを助手席に乗せて,再び外から施錠しようとすると…

ぴぃいいいいいいい

もはや疑いない。鍵はなおみが身に付けている。巨大な鍵の束が隠れる場所は他にはない。果たしてハンドバッグの中からじゃらりと現れた。最初に鍵がない騒動になったのはこのハンドバッグに見つからなかったからだ。大騒ぎして探している間も横にあったこのバッグに入っていたのだ。駅に問い合わせに行ったときも携えていたバッグの中にあったことになる。

なおみがへんなのである。

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