三島に住む友人はタローを飼うずっと前からの付き合いである。
柿田川は富士の伏流水が沸く三島湧水群のひとつを水源にしている。狩野川に合流するまでのたった1.2kmだが100%湧水の川である。昔はよくこの川に来て遊んだ。久しぶりに会いに行くにあたり,柿田川での梅花藻撮影をリクエストした。
友は水槽とカー用品を利用して手作りしたハウスを準備して待っていてくれた。
腰痛をおして藪をこき,倒木を渡る。今どき小学生でもこんな遊びはしない。
不安定な木の上でレンズ交換したり,梅花藻までの距離を予測したり大はしゃぎする。
ミシマバイカモは正確には藻ではなく水中に咲くキンポウゲ科の双子葉植物である。清流にしか分布しない。
「シュウさん,裸足で流れに少し入れば魚がいっぱい写りますよ。」
誘惑に負けてジーンズを脱ぎ痺れるほど冷たい水に入った。
ここまでくると昔の小学生でもこんな遊びはしない。
これがラストショットである。川底のぬめりに足を取られてあっけなく転んだ。
顔から落ちながら右手を差し上げたが5Dが一瞬水没した。現在キヤノンで修理中である。膝はざっくりと擦りむき,あちこちを打った。…が,この爽快感とひきかえならいいかなと思える。ここからは友人の5Dを借りての撮影である。
市内に移って咲いている梅花藻に出会えた。
木道に這いつくばって。
ライブビューを使って水中の花びらにマニュアルフォーカスするという離れ業。
みーちゃん(友人夫人)がここにもハウスを運んできてくれた。
設定で起きる想定外の出来事に白目を剥くほど笑った。半年ぶりに声をたてて笑った。
先日,引きこもっていたボクたちを強引に連れ出してくれたのも友だちだった。けだし持つべきものは友人である。
去年訪れたときはケージから出てタローと遊んだフレミッシュジャイアントという巨大なウサギ。
飼い主の娘さんに絵の手ほどきをしたのは彼女が小学生のときだった。思いがけずタロー以前の時と出会う。