OUR DAYS 2019年2019/6/13

「行ってきまーす」

雲一つない青空の下,サンバイザーを深く被ったなおみが自転車で出かけて行った。聞かなくてもわかる。笹塚の花屋に行ったのだ。

梅雨の晴れ間,予算を考えながら店先で花を選ぶ妻を思えば切ない。

ご飯も散歩もしてやれない。シャンプーもブローもブラッシングも爪切りもしてやれない。毛を切ってやることも抱きしめることもできない。

今,彼女がタローにしてやれるのはただ月命日に花を選んでやることだけだ。

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子に恵まれなかったボクたちにとってタローは息子そのものだった。パンとボールと花を供える。1年と6ヵ月が経った。

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