仕事を納め,くたくたで家路を急ぐ永代橋から大晦日の夕空。
帰宅すると母90才がキッチンでへばっていた。山のような煮しめと山のような南瓜煮と山のような鳥のコーラ煮が湯気を上げていた。
「オフクロ,どうするんだ,こんなに。」
「どうしよう」
と母も笑った。ボクとなおみは煮しめと南瓜とコーラ煮をコンテナに詰め,車で一人暮らしの母の知人にそれを届けた。
それからスーパーに買い忘れた小松菜を購いに行った。自転車が一台しかないので交代で乗った。跨線橋に上ると遠く富士山がキレイに見えた。
タローはそばにいなくなってしまったけれど,ボクたちはたぶんずいぶんと幸せな年の瀬を迎えている。