父を知る人はみなご存じだがボクの父はDIYが趣味だった。
電気器具も自分で配線し上下水道のメンテナンスもした。
棚も本箱も犬小屋もベッドも作った。
晩年,原村に暮らし始めてからはことにエスカレートした。
三和土,水車,焼却炉,はてはガラスの温室にあずまやまで…。
地面にコンクリを打って柱を立てたあずまやサッシ製のガラス温室を果たしてDIYと言うかビミョウである。
作品はどれも驚異的な完成度でしかも頑丈だったが作業は見ていてあまり楽しくなかった。
アシストを必要とすると時瞬なしに「よしこー!!」と母を呼びつけ怒鳴り散らしていた。
ボクと設計士でオシャレにデザインしたしらべ荘の内装も…
父にかかってはあっという間に棚だらけ,あちこち裸電球がぶら下がった。
その上材料にお金をかけないというのがポリシーだった。
工事現場と言わずゴミ捨て場と言わずとにかく廃材を見つけるとすぐに交渉して家に持ち帰った。
東京の家もしらべ荘もいまだに父の集めた廃材がたくさんあって閉口している。
そして2世はたいていアンチとなる。
ぎりぎり追い詰められないとのこぎりを持つことはしない。
ところが家が築40数年を数えるとぎりぎり追い詰められる機会も増えてきた。
いざ始めるとけっこう凝り性のようだ。血は争えない。
さてもうひとり…母も義母(彼女から見て)も筋金入りの園芸好きの2世である。
アサガオ一鉢育てたことがない。
それがこちらもぎりぎり追い詰められた。
職場の感染拓大防止対策の一環たる換気である。
玄関に防虫ネットをして扉と窓を開けると風が吹き抜ける。
…のはいいが窓のすぐ30cmほど下が花壇なので土埃が巻き上げられて室内は大変なことになった。
以前はマンションの階上に住む住民が花壇を手入れしていた。
数年前にその人が病死して以来,荒れ放題となっている。
向かいに住む大家さんも奥さんの介護で手が回らない。
何か植えて土を覆わなければ夏に向けて大ピンチとなる。
さて2世によるDIYと園芸…いかなることとなりますやら。