今年は子どもたちの夏休みがほとんどなかった。
8月,ボクたちの夏合宿の予定日にまで学校がずれこんだ。
もう十数年来の付き合いになる宿にキャンセルの電話をするとき,まさかと思ったがこの連休の予定を聞いてみた。
空いていた。
返す刀(電話)でレンタカーに電話するとやっぱり空いていた。
今年,中3の子たちも小6の子たちも修学旅行がなかった。
運動会も文化祭も部活の大会も全部なかった。
せめてボクたちの合宿は連れて行こうとがんばった。
ここはね,行きにいつもタローがワントゥした丘。看板や階段ができていた。
天気予報はあまりよくない。
高速道路はこれまで経験のないほどに混んで渋滞した。
今年はお弁当も沼田市内のほっともっとに注文しておいて取りに行った。
そのついでに雷おこしを持ってとねむせんを訪ねた。
サプライズ成功,とめむせんさんはとても喜んでくれたが如何せん時間がなくなっていた。
訪問時間30秒。
途中の赤沢湖畔でお昼になってしまった。
予報を覆す青空。ふだんの行いがいかにいいかわかる。
三国峠の宿に到着。
初秋はまた夏とは違った風情。
…さっそくタローをいつも泳いだあの池に連れて行った。
「タロー、連れて来た?」
となおみ。
「もちろん」
「あたしも連れて来た♪」
この宿はいつかの冬にタローと下見に来て決めた。
タローがお気に入りだった窓辺。
仕事はある。
授業開始。
タブレットのおかげでボクは仕事を続けていられるように思う。
問題集の解答など敵意のあるほど小さな文字の奴らは写真に撮って5cm角くらいに拡大してやるのだ。
休憩時間,ボクにそそのかされて川向こうのけもの道を旧道まで冒険に出る男の子たち。
先頭の子がタローと生年月日が同じK太である。
今日の夕飯のいただきますはうー。
深夜テストは例年よりは早く切り上げた。
二日目も滞りなく。
今年もクイズ大会で,
「シュウ先生となおみ先生の関係は?」
という問題に男の子全員が「同僚」と答えた。
毎年,この瞬間の楽しみだけのために「夫婦じゃない演技」をしている。
女の子はさすがにだませない。
さて二日目の夜はなおみの担当で,ボクは運転に備えてお休みする。
これは寝るための薬である。
2日目の夜も心持ち早く終わる。
二週間前から検温,体調管理を義務付けて臨んだ合宿。
みんなでマスクなしで過ごした3日間は別世界だった。
マイカーの観光客はすさまじい数だったがまだバスの団体旅行はない。
サービスエリアのバス専用駐車帯をボクたちのマイクロバスが独占していた。