OUR DAYS 2022年2022/1110

歩き方をボクは忘れてしまっている。

踏み出した足への体重移動のタイミングも異常で,上半身と下半身のバランスも取れていない。全く歩いていなかったわけではない。ずっと腰に手を当てて前傾しながら歩いていた。それをキチンと直立して歩こうと思うようになったほどには痛みが緩和してきたようなのである。

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車で片道1時間半もかかる病院に通い始めたのは他でもない,手術をした先生の教え子だったからだ。3年間通った。痛みが酷く,全く歩けなかった。もはや治療はあきらめ,事情を話して障碍者認定を目指そうとしたのだ。ところがMRIやレントゲンの結果は「術後の経過は極めて良好。神経を圧迫する狭窄部がどこにもない」というものだった。完治していると言われても,錐で刺すような痛みが消えるわけではない。単に治療の手段がないというだけである。

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以来,3ヵ月に一度のペースで関越道を使って1時間半の道のりを通院したが一度も治療を受けていない。ときどきレントゲンを撮る他は,顔を合わせて

「ロキソニンを3か月分,トラムセットを1ヵ月分,お願いします。リリカはまだあります。」

…と自分で処方した薬の処方箋を書いてもらうだけ。3分くらいだった。

引っ越しをすればさすがに通えなくなる。宛先なしの紹介状を書いてもらった。

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