次の文を読んで後の問いに答えなさい。
大学生の「ドレミ」とフリーターの「ボク」は将来を誓いあっていたが、諸事情から電話や手紙のやり取りができなかった。JRと私鉄が交差しているM駅構内にある①跨線橋の二番目の鉄骨が二人のA秘密のポストだった。その裏側の凹みに、朝、「ドレミ」が手紙を置く。昼に「ボク」がバイトで私鉄からJRに乗り換えるとき、それを取って代わりに手紙を置いて行く。夕方、大学から帰ってきた「ドレミ」は電車から降りると、その手紙を持って帰宅するのだった。
十二月に入ったある夜、ドレミはとうとう家出した。深夜、アパートの呼び②鈴が鳴る音にドアを開くと、バッグを③提げたドレミが木枯らしの中に立っていたのだ。彼女にこんな思いきった行動力があるとはさすがのボクも④度肝を抜かれた。もし「卒業するまで待とう」と説得すれば家に帰すことはできたろう。だが、それでは何だか男がすたる気がした。ボクは一瞬、⑤逡巡したが、「男がすたらない」方を選択して彼女を部屋に上げた。エアコンの下で暖をとっているドレミの方がはるかに度胸がすわっていた。ロフトに敷いた布団に二人でくるまると、きらきら光る目でこう言った。
「ねえ、いつ籍を入れてくれるの?」
ボクたちは一般的には認めがたいであろう結婚に向かって突っ走った。誰からのどんな説得をも突っぱね、今と変わらないBあうんの呼吸で行動した。<中略>こうして、一月最後の大安の日、二人は渋谷区役所に婚姻届を提出して受理された。
その夜、仕事と授業を終えたボクたちは、M駅にあるあの跨線橋で待ち合わせ、駅前の商店街に行った。そして露店のアクセサリー屋で三百円の指輪を買い、新宿行きの急行に飛び乗った。ドレミの高校時代の友だちとボクの後輩たちが連絡を取り合って、カラオケ居酒屋の広い個室で結婚パーティーを開いてくれたのだ。チョコちゃんたちは貸し衣装でウエディングドレスも借りてきてくれていた。ボクは純白のドレスに身を包んだドレミの指に、露店で買った指輪をはめた。みんなが拍手をして、ボクたちは誓いのキスをした。
☆ ☆ ☆ ☆
ワンルームのアパートで、ままごとのような新婚生活が始まった。ドレミは在学中に姓を変え、駅前の八百屋さんには「若奥さん」と呼ばれて,ちゃっかり大根をまけてもらったりした。分厚い百科辞典のような料理のレシピ本をめくりながボクの帰りを待ち、マメにつけていたお小遣い帳の新しいページが家計簿になった。
問一 文中の①〜⑤の漢字の読みをひらがなで書きなさい。
問二 傍線A「秘密のポストだった。」と、ありますが、二人はなぜメールでやり取りしなかったのでしょうか。次のア〜エからもっとも適当なものを選び記号で答えなさい。
ア ケイタイが世の中にまだなかったから
イ ケイタイを没収されていたから
ウ ケイタイが嫌いだったから
エ ケイタイが買えなかったから
問三 傍線B「あうんの呼吸」をしているのは,次のア〜エのうちどれでしょう。記号で答えなさい。
ア 竜と虎
イ あかべこ
ウ 狛犬
エ 織姫と彦星
問四 文中のドレミとは誰でしょう。ひらがな三文字で答えなさい。
問五 「ボク」とドレミが結婚したのは何月何日でしょうか。次のア〜エから選び記号で答えなさい。
ア 一月三十日
イ 四月三十日
ウ 七月三十日
エ 十月三十日
問六 ドレミさんと今日会ったら、どんなことばをかけますか。あなたが言いたいことを一文で書きなさい。
