Apr.2012

北へ向かいます。

取りあえずは街を出て,高速道路や田舎道を走りながら慣れていかないと,ナマズの巨体を御しきれずに危ないからです。前夜,ホテルでポータブルナビの使い方をあれこれ調べながら,目的地をアンドラ公国というピレネー山中の小さな独立国に設定しました。


以前は,ヨーロッパで車に乗ったらまず近くの町の本屋やガソリンスタンドに行って道路地図を手に入れていたものですが,今回はレンタカーのオプションでナビを借りてみたのです。ボクはふだん,ナビの案内通りに進むことは稀で,専らノースアップにしたまま地図代わりにしています。



ノコギリ山が見えます。房総半島のノコギリ山よりはずいぶんとスケールの大きなノコギリです。おっと,いけない,いけない。退屈な一本道で日本の風景を思い出すことは禁物です。ボーっとしていると,一瞬,道路の左右が混乱することがあるからです。

走っているのは欧州自動車道E9。フランス中部の都市オルレアンからバルセロナまで880kmを南北に貫く幹線道路です。バルセロナを出て暫くは有料高速道路で,途中,2度ほど別料金のトンネルをくぐりました。日本並みの高い通行料に納得してしまうほど長いトンネルを抜けると,そこは雪国ならぬピレネー山中でした。

「停めてー」

…と,ドレミが言います。

「ほら…」

「お馬の母子,写真になるでしょ?」
…ビミョウだな。

ナビの地図を補完するため,出発前に職場のプリンターで現地語に設定したグーグルマップを50枚ほどプリントアウトしました。ドレミがそれを地方ごとにのりで貼り合わせて作った地図を持ってきています。道は機械に任せず,この自作地図を使ってドレミがナビゲーションします。十代の頃からボクの助手席で鍛えられてきたため,ドレミのナビゲーション能力は非常に高いのです。


カタルーニャに春が訪れています。

街道脇には桜が咲き,野にはレンギョウの黄色がまぶしいほどです。



暖かな日差しに,春の風景がきらきらと光るものですから,ほら,また車を停めてしまいました。朝,バルセロナのパン屋で買っておいたフランスパンとボトルの水を持って小さな村をプチハイキングです。どうにもこれでは,いつになったらアンドラにたどり着くのやら…。



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