Apr.2012
「もう一つだけ,いちばん大きな村があるから,最後にそこに行きましょ。」
ドレミがパンフレットを見ながら言いました。
タウル村「サント・クリメント聖堂」
坂道だらけの石の町をぶらぶらと歩きます。
帰宅してから調べると,この荘厳な建築を実現させたのは銀山だったことがわかりました。当時,この地方を統治していたアラゴン王国が良質な銀の産出で得た巨大な富をこの村々の建設につぎこんだのです。
あるいは巨万の富は村を守る軍事にも使われたかもしれません。そう言えば石見銀山も採掘権を押さえた戦国大名毛利元就の資金源となっていました。
シエスタを過ぎてもバールのテラスには結構お客さんが入っています。石の家は民宿になっているところも多く,家族連れの観光客などが早々とチェックインして寛いでいます。日の傾いた空に教会の鐘が鳴り響きます。こののどかな村にボクたちも泊まりたくなりましたが,そろそろ目的地に向けて移動距離をかせがなければなりません。
広場に村人が集まって笑い声に包まれていました。どうやら結婚式のようです。ドレミが微笑みながら村人たちがはしゃぐのを眺めています。
「行くか。」
「うん。」
人々の楽しそうな笑声を背中に村を後にします。例によって今夜の宿もまだ決まっていません。