01/MMB RWY18

Nov, 2012

女満別行きにしては妙に大きな機体だった。秋たけなわ,復路に修学旅行の団体が入ったために機種が変更されたそうで,発券された座席票に 「ご予約の席も変更になっています.ご了承ください.」と印字されていた。

…イヤです。

ボクは窓から雲を撮るのが楽しみで,2ヶ月も前から窓際を予約していたんだから,こんながらがらの客室の真ん中にぽつんと座らされても困ります….CAのおねえさんに声をかけると,その愛想の良さに驚かされた。

「それはタイヘン失礼しました。直ちにお席を変更できるよう手続きして参りますぅー!!」

…いやはやそこまで気合い入れてくれなくても,どうせがらがらだから,ドア閉まったら空いてる席に移らせてもら…

「お客さまー!!!あちらとあちらとあちらのお席がお取り頂けます。どうぞお選びください!!」

あ,どもども(;^_^A

「お客さまー!!!あちらの窓からホラ!富士山が見えます。お撮りになりますか。どうぞこちらへー!!」

否も応もなし,反対側の窓際まで手を取って案内してくれる。彼女は忙しそうに今度はお年寄りの席に飛んで行った。

「お客さまー!あちらに富士山が…」

…なんだかいいな。JALっていいじゃん。

なんだかいいなの気分を乗せて,JAL1183便はオホーツク海上でUターンし,女満別空港に着陸した。席を立とうとすると,…え?富士山のCAがにこにこ笑いながら立っているではないか。


「お客さま,ご夫婦並んで記念写真をお撮りいたしましょう.」

ボクのカメラを受け取り,ボクたちを写してくれた。わざわざそのために来てくれたのだ。彼女の目に映ったボクたち,よっぽど楽しそうにみえたのだろう。


レンタカーの手続きを終え,急いで滑走路の端まで来た。ただの草原だが,この場所には思い出がある。はるばる北海道に来ても,遊び盛りだったタローを思い切り遊ばせる場所がなかなか見つからず,誰もいない安全なこの芝生の上で半日も過ごしたことがあった。農大在学中だった教え子のつばさが「先生たちに見せたいひまわり畑がある」と言って案内してくれたのもここだった。だからこの場所に立つだけで足がガクガクするほどうれしくなる。

ああ,今年も道東に来たぞ。

小さなJAL機の離陸に間に合った。

RWY18…真南に離陸するヒコーキの先に雄阿寒岳が見える。

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