国道39号を女満別から南に向かう。ボクはよっぽどこのあたりの風景が好きなのだろう。道路標識に美幌の文字を見ると,なぜか懐かしくていつも泣きそうになる。天のカムイも土砂降りの中で撮影しているボクをさすがに不憫に思ったのだろう。雨は上がり,つかの間夕日も差してきた。そして泥田の中に無数のオオハクチョウを見つけた。
「おーい」
ドレミが話しかける。ボクはぬかるみのあぜ道を東側に回り込んで準備完了。
「飛んでー!!」
ハクチョウたちの鳴き声が高まってきた。飛び立つ合図だ。おそらく今夜は濤沸湖あたりで寝て,根室かあるいは遠く本州まで渡ってゆく群れだろう。雨が強い間,泥田で羽を休めながらのもぐもぐタイムだったのかもしれない。
「そーれ!」
ドレミの掛け声に呼応して,6,7羽が助走を始め空に飛び立った。それから次々と大小のグループが舞い上がる。
風上の 北西に向かって離陸し,上空で旋回して南へ飛んで行く。まるでハクチョウたちの航空ショーである。雨上がりの泥田にはボクたち二人しか観客がいない。
キレイだね。
あたりがだんだん暗くなってきた。