06/虹の橋

Nov, 2012

逢いたくて逢いたくて…

そう,ボクたちはこのワンちゃんに逢うために休みを取り,はるばる美幌まで来た。

この子の名前はクマ,女の子なのにクマ。大阪から道東に移住した夫婦が,引っ越してすぐに飼い始めた北海道犬のミックスである。子どものいないその夫婦は移住生活の楽しいときも苦しいときもずっと彼女と過ごしてきた。楽しいときも苦しいときも…。

ボクたちがクマと初めて会ったのは5年前,夫婦とはネットで偶然知り合った。もう何度もタローといっしょに泊めてもらってる。

この夏,急に体調を崩した彼女はもう立つこともできない。体は骨と皮ばかりで,お腹には腹水がたまってしまった。夫婦の必死の介護でなんとか生きているが冬を越すのはムリだろう。ボクは病状を聞いて,すぐに会いにいくことを決めた。このヘンの気持ち,一般には理解不能かと思われるが,ボクたちも自分たちに赤ちゃんができなくて犬を飼っている夫婦なのである。

東京からの見舞い客を迎えるために,クマは久しぶりにお風呂に入って,ブラッシングもしてもらった。ミッキーそっくりな耳と赤ちゃんが手袋してるようなかわいい前足がチャームポイントの美幌小町。

どうです!!病気でもこの器量。

ボクも凛とした小町の美しい姿を残そうと50Lで渾身の撮影である。結局,予約してあったホテルはキャンセルし,今回も泊めてもらって,奥さん心づくしの晩餐を楽しんだ。本当は迷惑をかけたくなくて外食を誘ったのだが,クマをひとりにできないと断られた。もっともなことである。

翌朝,クマとの別れ際,ドレミは号泣した。もう二度とは会えないだろう。

夫婦に暇乞いしてから,雨の町を出て美幌峠を越えると,ほんのいっとき日が差し,屈斜路湖の上に大きな虹がかかった。

虹の橋の話をご存知だろうか。幸せに暮らして死んだ犬は,天国の手前にある虹の橋のたもとで飼い主が来るのを待っているそだ。ボクたちはその話を心から信じている。ボクとドレミとタローもいつかあの橋のたもとで待ち合わせるのだ。

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「虹の橋」作者不詳 シュウ訳

 

天国の手前に虹の橋と呼ばれる場所があります.
生前,誰かに特別愛されていたペットは,この世を去ると虹の橋の袂でその人を待つのです.

虹の橋の袂は美しい草原に囲まれた丘です.
かけがえのないペットたちは,みなそこで仲良く走り回って遊ぶのです.
そこには食べきれないほどたくさんの食べ物ときれいな水があり,
暖かい日差しに包まれて彼らは快適に暮らすことができます.

病気だった子や年を取っていた子も健康と元気を取り戻し,
怪我や障害を負っていた子はすっかり元通りの姿に治っています.
そう,ちょうど私たちが今もときどき夢に見る,過ぎ去ったあの日々の姿と同じように.

虹の橋の袂で幸せに過ごすペットたちにとって唯一の願いは,
別れてきた飼い主にもう一度会うことだけです.
楽しく駆け回って暮らす虹の橋の動物たち…

…ところがある日,その一頭は俄かに立ち止まり,遠くを見つめます.
明るい目は何かを見つけて,体はぶるぶると震えだします.

刹那,仲間たちの輪を飛び出し,緑の草原を飛ぶようにぐんぐんと駆けてゆきます.
彼(彼女)は丘の上まで迎えに来たあなたを見つけたのです.

そして遂にあなたと彼は二度と別れることのない喜びの再会を果たし,固く抱き合うのです.
キッスの雨があなたの顔に降り注ぎます.
あなたはやさしく彼の頭を撫でながら,その一途な目を見つめます…
あなたの人生から長い間失われていて,
それでも決して忘れることのなかったその真実の瞳を.

やがて彼とあなたは一緒に虹の橋を渡ってゆくのです.

When an animal dies that has been especially close to someone here, that pet goes to Rainbow Bridge. There are meadows and hills for all of our special friends so they can run and play together. There is plenty of food, water and sunshine, and our friends are warm and comfortable. All the animals who had been ill and old are restored to health and vigor. Those who were hurt or maimed are made whole and strong again, just as we remember them in our dreams of days and times gone by. The animals are happy and content, except for one small thing; they each miss someone very special to them, who had to be left behind. They all run and play together, but the day comes when one suddenly stops and looks into the distance. His bright eyes are intent. His eager body quivers. Suddenly he begins to run from the group, flying over the green grass, his legs carrying him faster and faster. You have been spotted, and when you and your special friend finally meet, you cling together in joyous reunion, never to be parted again. The happy kisses rain upon your face; your hands again caress the beloved head, and you look once more into the trusting eyes of your pet, so long gone from your life but never absent from your heart. Then you cross Rainbow Bridge together.... Author unknown...

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