奥の院から長い石段を二人でふうふう言いながら降りてくる.階段が終わるとにわかに元気になった母は切符売り場やお土産屋さんに行って,何やら盛んに聞いている.
「ねえ,お地蔵さんがいっぱい並んでるとこってご存知ないですか?」
…ついに場所を聞き出して来た.
「川沿いだってー♪」
母は幼い頃のボクを連れて来て以来の日光.しかもこの日は出発してから日光行きを決めたので,予習することはできなかったはず.
「なんでお地蔵さんなんて知ってるの?」
と,聞くと,「数年前に新聞で読んで,今度いつか行ったら撮ろうと思ってた」とのこと,恐るべし.
「今ならまだ,お地蔵さんが雪かぶってるかも,早く早く」
お母さま.お腹減ったんですけど…時計はもう1時.
すきっ腹を抱えて,凍った道を行ってみると,なるほど数え切れないお地蔵様が笠地蔵状態.
何度数えなおしても数が合わないそうで,別名化け地蔵.