06/ジャッカ・ドフニ

Aug, 2007

縄文人の自然崇拝をイメージさせる逸話が「オホーツク街道」に紹介されています。北川アイ子さんというウイルタの女性を,中学校の先生が札幌まで観光にお連れしたときのことです。アイ子さんはお菓子をたくさん持参して,峠や川にさしかかるたびに車を降りて,菓子を手向けお祈りしたそうです。ウイルタは大陸から渡ってきた北方系の先住民で,その末裔であるアイ子さんは網走市大曲にある市営住宅にお住まいです。

司馬さんがこの先生の案内で雪の大曲にアイ子さんを訪ねるくだりが印象的で,ボクもその会見場となったジャッカドフニという資料館に行ってみたいと思っていました。網走博物館を出て,さあ,ジャッカドフニの場所はどこかと,用意していた資料を見ると,大曲という地名に見覚えがあります。

「なんだ宿のあたりじゃん」

ジャッカドフニは住宅地の外れにぽつんと建っていました。

「開いてないみたい」

ドレミが入り口から大きな声で報告します。まわりを気にする必要はありません。一面の空き地で,タローが小躍りしています。

「じゃないかと思ったんだよー。いつ来れば開いてるんだろう」

「看板あるよー,わあー!」

 

…休館日 月~金曜日と冬期,


「なんと,要するに夏の土日しか開いてないんじゃん。」

ジャッカドフニはウイルタ語で「それらのある家」という意味です。ウイルタの民族衣装や工芸品を収集,展示されているそうで,館長はアイ子さんその人です。

もうずいぶんお年のはずですから,土日のみの開館も致し方ないでしょう。

タローを連れて土手に登ってみました。網走湖から北上してきた網走川が一度西に向かい大曲をぐるりと囲むように180度方向を変えて東に流れて行きます。

ほんとうに大曲です。

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