つばさの通うキャンパスをボクたちは見学した。
いつも行く学食,珍しいプランクトンの水槽,入りたい研究室。案内してもらっているうちに,ボクもドレミももう一度大学生がやりたくなってしまった。
大学を後にして女満別に向かった。空港の横にあるひまわり畑が満開なので
「先生たちを連れて行きたいっす。」
…だそうだ。
「ひまわり畑なら午前中にたっぷり散歩したよ。」とは言わない。
道々,大麦の穂の付き方など,かねがね知りたかったことを2,3質問すると,つばさが即答するのにはまたもや驚かされた。道東の作物について,もうボクたちと対等の知識量だ。この冬を越した頃には何度も旅をしているボクらをはるか凌駕するだろう。
「お前,ホントにこっちに来てよかったなあ。」
「そうすか。」
「つばさは私たちの誇りだわ。」
「えへへ。そうでもないっす。」
青空に麦が映えて美しい。
「どこか写真にいいとっておきの景色はないかな?」
「それならこの先に感動のケイっていうとこがありまして…」
「何ぃ?」
「は?いや,感動のケイ…」
「感動の径(みち)というのなら知っているが…」
「え!あー,あれ,ミチって読むんすかー。あはあは」
「今度,帰京したら漢字の特訓な。」
「…はい」