32/北浜駅

Aug, 2009

タローをシャワーして海から上がると,すぐ背後にある無人駅がなんだかいい雰囲気を醸している。近づいてみると,元の駅務室が喫茶店になっていた。

喫茶店になったから,いい状態で残っているのだが,喫茶店になった駅舎は駅としての魅力はなくなる。難しいところだとボクはしばし考える。

「あと25分で電車来るよ。」

ドレミが時刻表を見て言う。電線がないのでたぶん電車ではない。

 

列車を待つ。

 

構内の壁,これはいったい何ごとだろう。よく見ると,ほとんど中国語である。

外にはこんな看板。何やらこの駅は中国人にとって重要らしい。

たいてい,そういう場所は,強制連行とか収容所とか戦時中の悲劇の地が多いものだが,看板にも切符の落書きにも暗さが感じられない。中国語が読めないのでわからない。

 

とりあえず列車が来た。一両編成なので,列車でもなく単車だった。

帰宅後にインターネットで調べてみると,こうだった。

中国に馮小剛という映画監督がいる。作風が山田洋次にも似ていて,コミカルな人情ものを得意としているそうだ。彼の最新作が看板にあった「非誠勿擾(フェイ・チェン・ウー・ラオ)」で意味は「誠実な恋人,募集中」らしい。国内で大ヒットしているその映画後半の舞台が網走なのである。北浜駅は人気ロケ地のひとつで,映画のファンや出演者の追っかけがはるばる訪ねて来ているというわけだ。

それにしても凄まじいマナーの悪さではないだろうか。ヨン様やレオ様を追っかけている日本人観光客がこんなことをしていないことを祈りたくなる。ところで「非誠勿擾」の日本語版はないようだが,英語字幕のDVDを見つけたので注文しておいた。この項,追加になるかも…。

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