36/風蓮湖

Aug, 2009

最後の峠を越えると根室方面に海霧の塊が漂っているのが見え,やがてその中に突入した。

←奥行臼駅逓跡


風蓮湖は霧の中だった。湖畔を散歩して駐車場に戻ると,先刻,視界のほとんどきかない国道で追い抜いた自転車ツーリング隊の姿があった。濃い霧のため日没前だというのに辺りが急速に暗くなっている。

30人ほどのツーリング隊は,3つの小グループに分かれて次々と到着した。視界不良のため大幅に遅れたので,予定をあきらめて今夜はここでテントを張ることになったと言う。よく勇気ある決断をしたと思う。霧の夜道は短距離でも危険だ。国道をゆく車もベテランドライバーばかりとは限らない。

若い子たちの団体だがリーダー格は経験豊かなしっかりした若者たちらしい。

←リーダー会議?の結果を待つ隊員たち


虫が大量に飛ぶ沼地での野営に,女の子たちですら誰も不平を漏らさない。むしろ楽しそうに天幕の準備をしている。リーダーへの信頼が厚い証拠だ。こういう一団をパーティと呼ぶのだろう。きっと一人も欠けることなく北海道一周を達成するに違いない。ひと月ほど前に,無知な旅行会社のツアーに応募して,大雪山中にばらばらになって遭難した人たちがいた。みな分別盛りの年齢だったようだが,彼らはパーティではない。

目次へ37/エスカロップへ