函館はともかくとして,なぜか車で北海道に行くと,行きか帰りに必ず通るのが帯広だ。地理的にそういう場所なのだ。市内のホテルに泊まったこともあるし,町歩きも何度かして帯広には自信があった。
冬のある日,教室で帯広の話題になった。週末,帯広に田舎のあるYが,法事で往復してきたからだった。
「帯広って言ったら豚丼に六花亭,銭湯はみんな温泉だよな。全部,味わって来たか?」
と,ボクは知ったかぶった。するとYがぼつりと言った。
「帯広って言ったらインデアンカレーっすよ。」
「え?」
意表を突かれてボクは絶句した。
「先生,まさか知らないんすか?」
「な,何ぃー!」
…知らなかった。ふだん,けちょんぱんに言われてるだけに,Yが嵩に懸かってくる。
「インデアンカレーを知らずにふつう帯広を語るかなあ?」
く,悔しいー!!「帯広でインデアンカレー」はこの夏,ボクのミッションの一つとなった。
ボクとドレミでチキンカレーとシーフードカレー,そして通の定番,山葡萄ジュースを注文し,Yに写メも送った。ねっとりした食感と深い味わいは,なるほどスープカレーに慣れた北海道の人の舌には新鮮だろう。
大阪に同名のチェーン店がある。帯広インデアンはそのパクリだそうだが,味では本家を凌駕するという噂もある。Yから返信が来た。
「ソースの種類,確かめましたか?」
…な,なぬ?慌ててメニューを見直すと,インデアンソースの他にも種類があり,チキンカレーやシーフードカレーは「ベーシックソース」のバリエーションだった。
「チキンなら,インデアンカレーにトッピングとしてオーダーしなきゃダメっすね。」
…通の道は険しい。次回,捲土重来を期す。
コインランドリーで洗濯したり,防虫スプレーやティッシュなど日用品を買い足したり,天気の悪い日は意外にスケジュールが忙しい。
乾燥機が回っている間に退屈しているタローを泳がせようと十勝川に出てみたが,どうにも川に出られる良い河原がない。