帯広郊外にある道の駅の朝,夜半から降り出した雨が朝も降り続いていた。想定内である。コーヒーは沸かせないので朝マックする。
車載のテレビで明日の天気予報を見た。
「道南だな。」
ここ帯広の降り方を見ても,勢力を弱めた低気圧は速度を上げながら真っ直ぐ北東に進んでいるようだ。道南は夜にも雨があがるだろう。
「函館を通り越して松前までお天気を迎えに行くか。」
未踏の地である。
「うん,いいよ。」
旅程は決まった。ボクはスパイクの短いノーズを日勝峠に向けた。
煙雨の峠を越えると,暫時雨が途切れた。すかさず脇道に飛び込む。
草を薙倒し,クマや増水のリスクを負い,虫を払い除け,白骨化した鹿の死骸を避けて川を目指す。犬がいなければ一生こんな場所に縁はなかったろう。
ドレミが木切れを拾い集めた。
投げて投げて投げて投げて…。